【99】新入生の戦い編④ 〜結界外戦──ドナックとミーニィの戦い〜
砂埃が舞い荒れる校庭。
中央にはドーム型の結界が張られている。
結界の外には、緊張が走っていた。
多数のC組生徒達に相対するのは、A組のドナックとミーニィ。
緊張を切り裂くように、ベルエルが号令をかける。
「行けっ!!」
取り巻きたちの群れが押し寄せ、戦場は一瞬で騒然となった。
「っく……ドナック、来るよ!!」
「任せろ!!」
槍を構えたドナックが前へ出る。
長い槍の刃が夕陽を反射し、突進してきた敵を正確に弾き飛ばした。
「──《フロスト・バインド》!!」
ミーニィの声が響き、氷の鎖が敵の足元から這い出して絡みつく。
だが、その鎖を横から細剣が切り裂く。
「チッ……」
飛び込んできたのは、フィーグ。
茶色のロンゲが風を切り、ロングソードが月光のように閃いた。
「くそ……こいつ、速い!!」
ドナックの槍が寸前で受け止め、火花が散った。
「──終わりだよっ!!」
今度はベルエルが雷弾を放つ。
紫電が疾風のように走り、ミーニィの結界がかろうじて受け止める。
「く……!」
そして後方から、カーズの癒しの光が仲間たちに降り注ぐ。
(っくそ……倒しても回復される……!しかも数が多い……!!)
心が折れかけた、その時。
「──ドナック、右!!」
シルティの声が鋭く響く。
「はっ!!」
反射的に槍を横薙ぎに振ると、フィーグの斬撃を弾き返した。
「ミーニィ、足元!」
アップルの指示。
「──《ライト・シール》!!」
眩い光が足元に広がり、ベルエルの影を封じた。
動きが一瞬止まり、ミーニィはすかさず氷弾を叩き込む。
「や、やるじゃない……!!」
距離を取るベルエル。
カーズが再び回復しようと詠唱に入った──その瞬間。
「──《シャドウ・バインド》!!」
地面から黒い鎖が伸び、取り巻きの生徒たちを次々と絡め取っていく。
その中心、マルミィが無表情で指を鳴らした。
「……モブのみなさんは、退場です」
「ドナック!!」
ミーニィが叫ぶ。
「行くぞ!!」
ドナックが跳躍し、槍の先がフィーグを狙う。
フィーグは細剣で受け止めると同時に、懐から魔石手榴弾を取り出した──瞬間。
「──《閃光月華》!!」
シルティの剣閃が横から割り込み、フィーグの手から手榴弾を弾き飛ばした。
「くっ……!」
間髪入れずにベルエルの雷弾が飛んでくる。
だが、アップルの治癒の光がドナックとミーニィを包む。
「《ヒール・ブレス》!!」
身体が軽くなる。
感覚が研ぎ澄まされる。
「ミーニィ、もう一発だ!!」
「──《フロスト・スパイク》!!」
氷の槍がベルエルを弾き飛ばす。
残ったカーズの回復魔法が光るが、「そろそろ……終わりだよ?」マルミィの鎖が後方から絡みつき、カーズの詠唱を封じた。
「くそっ……!!」
地面に四天王が倒れ、ドナックとミーニィは肩で息をしながらも、ゆっくりと勝利を噛み締めた。
「はぁ……はぁ……やった……私たち……やったよ……!!」
「ふ……まだ、終わってないぞ」
ドナックの視線の先は、結界の中。
「男を見せろ、ラッティ!!」
シルティの叫びと、ラッティの突撃が響く。
二人は拳を握りしめ、その瞬間を固唾を呑んで見守った。
(つづく)




