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負傷者救助

「ミツバ、迂回して裏を取るぞ!ジャック、ここで援護しろ!」

 ランスがチームに指示を飛ばす。

 この日は訓練センターの密林エリアにおいて、一般部隊が扮する仮想敵の分隊と空砲を用いての戦闘訓練だ。

 状況開始早々敵と遭遇し、激しい銃撃戦が繰り広げられている。

「ここは任せろ!」

「よしミツバ、ついてこい!」

 ジャックの頼もしい返事を聞いたランスは、ミツバを引き連れ行動を開始した。

「ジャック、右足負傷!」

 しかし突然、クック曹長が負傷の現示を出し、その場にジャックが倒れ込む。

「うお・・・っ!」

「援護します!ジャックを助けて!」

 判断力が揺らぐランスに変わってミツバが指示を出す。

 常に状況が変化する戦場では、一瞬の判断で結果が大きく変わる。

「了解、頼んだ。」

 ミツバはランスの言葉を背中に受けると、発煙弾を敵方に投げ射撃を開始した。

「ジャック、大丈夫か!?」

 白い煙の壁によって守られた空間の中で倒れているジャックの元に、ランスが滑り込む。

「あ、足をやられた・・・いてぇよぉぉ。」

 ジャックが下手な芝居をする。

 これはふざけているのではなく、訓練にリアリティを出すための重要な行動である。

「よーし、一旦下がって治療するぞ。」

 そして、救助する者は被救助者を不安にさせないため、努めて明るく接する事になっているのだ。

「よい・・・しょ!・・・あー重いな。お前、また太ったんじゃねぇか?」

 ジャックを抱え上げたランスが文句を言う。

「わりぃな。除隊してからサボり気味だったもんで・・・」

「もー、とにかく下がるぞ。」

 バツが悪そうなジャックに、ランスはうんざりしながらもドスドスと後方に走り出した。

 援護射撃をしていたミツバも訓練用の手榴弾を投擲し、後退を開始する。

「よし、下ろすぞ。」

 ある程度下がったところでジャックを地面に下ろし、ミツバの警戒の元、ランスは手際良く応急処置を始めていく。

「俺の身に何かあったらハードディスクの処分、任せたぞ。」

 芝居を続行するジャックは乗りに乗ってランスの腕を掴み、迫真の演技を見せた。

「ああ、任せとけ。葬式でディスクの中身の観賞会と、検索履歴を部隊の掲示板に貼り出しといてやる。」

「いやお前、それマジやめろよ?マジでやったら化けて出るからな?」

 ランスのある意味死体撃ちとも取れる発言に、ジャックは思わず素に戻る。

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