市街地戦
初日に座学をみっちりとこなした翌日。訓練センター内市街地エリアの屋内廊下を警戒しながら静かにゆっくりと前進するジャック、ランス、ミツバの三人。
不意に先頭のジャックがグーを作った左手を上げ、チームを停止させる。
「足元にワイヤートラップ。」
ジャックが報告し後続の二人が足元に目を凝らすと、床から二十センチ程の高さで横に張られたワイヤーがあり、その端末は通気孔に隠された手榴弾に括り付けられていた。
「解除。」
ランスの指示でジャックはしゃがみ、ワイヤーをニッパーで切断した。
すると、天井に吊るされていた迫撃砲弾が三人を目掛け降ってきた。
しかし、それに気づいたミツバが流れるように砲弾をキャッチし、優しく床に転がす。
「よし。前へ。」
ランスが指示を出し、三人は何事もなかったかのように前進を開始する。
「待て待て!今のはアウトだ。」
数メートル進んだところで、クック曹長が慌てた様子で止めに入る。
「あまりに自然な流れなもんだからそのまま見送るところだった・・・」
頭を掻くクック曹長の前に、警戒を解いた三人がぞろぞろと集まってくる。
「曹長、二重トラップを見落としたジャックはともかく、アマノは降ってきた砲弾をキャッチしましたよ?」
装備と武器の点検を軽く済ませると、ランスは意見した。
「いや、お前もトラップを見落としてたろ!」
さり気なく自分を正当化しようとするランスに、クック曹長はツッコミを入れる。
「こんなことが常に出来ると思ったら大間違いだ!チームは二重トラップにより全滅。よって腕立て三十回!」