潜伏
三人は一列に連なり監視の目を掻い潜りながら、建造物の陰を転々と移動していた。
目指すはローブの男がいた塔のある建造物だ。ここは指揮所としても使われているため、遺跡群の中では最も大きな建造物である。
「・・・!」
不意に先頭のジャックが握った拳を顔の横に掲げ停止の合図を出す。後続の二人はぴたりと停止し、ジャックとともに低い姿勢で暗がりに身を隠す。
すると、ほどなくして進行方向上にある通りを一人のゲリラが横切って行った。
足音が遠ざかって行くのを確認したジャックはそっと立ち上がり、ゲリラが去っていった方にゆっくりと顔を覗かせ様子を窺う。
そして、ジャックは前進の合図を出し、ランスとミツバは再び立ち上がり足を進めるジャックの後に続いた。
ジャックは照明によってひときわ明るく照らされた通りを前に、何度目かの停止の合図を出した。
目標の指揮所まで二ブロックほどの所に来ているため、敵の密度はより一層濃くなってきている。
新たに建造されたであろうコンクリート製の建物の陰に身を隠す三人。ジャックがランスとともに通りを監視しながら、前進のタイミングを窺っている。
不意に三人の後方から扉の開く音がした。
「・・・!」
反射的にランスが振り返ると、後方にある扉が開いておりちょうどゲリラが一名外に出てくるところだった。
外に一歩足を踏み出し、二歩目でこちらに身体の向きを変える。
その瞬間、ミツバは電光石火の速さでコンバットナイフをゲリラの首に突き立てた。そして、突き刺した勢いを維持したままゲリラを屋内に押し戻し扉を閉める。
「長居は出来ないな・・・。場所を変えよう。」




