ゲリラの様子
さらに森を前進する三人。ここは人の手が入っているようで地面に草が少なく、立木もある程度の間隔を持って生えているためかなり歩きやすい。
しかし、同時に敵からの発見を受けやすいため三人は斜面の中腹を低い姿勢で移動し、連絡は全て手信号で行っていた。
「・・・。」
突如、ランスが停止の合図を出し、その場に伏せる。そして、さらに見て欲しい方向を示す合図を出す。
ジャックとミツバは、同じように伏せると匍匐前進でランスの両脇についた。
その先は五メートル程の崖になっており、崖下には車一台が通れるほどの道が走っている。そして、そこにはオリーブドラブ色の戦闘服にAKMで武装したゲリラが八人、道路の両端に等間隔で並び周囲を警戒しながら遺跡群の方向へと歩いていた。
その様子を崖の縁から、身体の露出を最小限に抑えながら監視する三人。
そして、ゲリラ達は三人に気づく事なく道の奥へと消えていった。
「・・・何なんだあれは。」
ランスはゲリラが進んでいった方向を睨みながら声を漏らす。
「基本教練でもしてんじゃねぇのか?」
それに対し適当なことを口走るジャック。
ゲリラ達はまるで観閲行進をしているかのような一糸乱れぬ節度ある動作で、行動していた。
「やっぱそうなるよな・・・」
「いや、冗談だからな?」
納得する素振りを見せるランスに、ジャックが訂正を入れる。
「もしくは我々の存在がバレていてわざとそう見せているのかも・・・」
神妙な面持ちで発言するミツバ。
それを聞いた二人にざわざわとした緊張が走り、不審な点がないか周囲を見回した。
「そういうわけでもなさそうだな。」
周囲を入念に確認したジャックがそう言う。
「だが、可能性としては充分にありえる。用心するに越したことはない。」
「用心しすぎていざという時動けませんってことにはなるなよ?」
もっともらしいことを言うランスに、それを茶化すジャック。
「わかってるよ。」
「では、そろそろ移動しましょう。」
二人のやり取りなど気にも留めずミツバは行動を促した。




