捜索
ジャックが町を訪れた数日後、クーラントにランスとミツバが足を踏み入れた。
「ここか・・・やつはいるといいが」
山を背景にした町並みを眺めながらランスが口を開く。
「最新の足取りは隣町です。間違いありません。」
ミツバは自信を滲ませながら淡々と言った。
そして、発言が終わったタイミングでランスの腹が鳴る。
「・・・何か食おう。腹が減った。」
「ではあの食堂に入りましょう。」
ミツバが指で示した先には、町並みに溶け込むようにして佇むこじんまりとした食堂があった。
「うむ。」
「ごめんください。」
食堂に入るなりミツバは笑顔で挨拶をした。そして、その後に続くランスが軽く会釈をする。
「いらっしゃい。好きなとこに座って頂戴。」
店内に設置されたテレビを見ていた中年女性の店主だったが、こちらに気づくと笑顔で歓迎した。
二人はカウンター席に座り、メニューを捲る。
「ハンバーガーを。」
メニューを閉じたランスが注文をする。
「私はオムレツ。」
その後を追ってにミツバも注文をした。
「ハンバーガーとオムレツね。」
「あと、ちょっとちょっとお聞きしたいのですが・・・」
注文を復唱し調理に取り掛かろうとする店主をミツバが呼び止める。
「なんだい?」
「この人を探してるんですが、見覚えありませんか?」
ミツバが店主にジャックの写真を見せながら聞く。
「んー?・・・あんた達、この男とどういう関係だい?」
写真を見た店主が眉間にしわを寄せ、二人に何かを疑うような視線を向ける。
「ああ、失礼。私達は国防省の人事部の者で、先日陸軍を除隊したこのランダル軍曹の手続きに不備があって彼を捜しています。」
二人は肩書を偽りつつカード型の身分証明書を見せながら事情を説明した。
「そういうことね・・・。でも、こんな刑事みたいな探し方をするのは少し大袈裟じゃないかい?」
苦笑いをする店主だが、納得しきれていない様子だ。
「理由は些細だが、彼と連絡が取れないばかりに話が必要以上に大きくなってしまいまして・・・」
ランスも苦笑いをしながら口を開く。
「お役所ってのは大変ね・・・」
店主は何度か頷いて二人の話に納得した。
「その男なら今朝、うちに来たよ。なんでも今日は保安官事務所に行くとか言ってたわ。」
店主の言葉に、ミツバとランスは顔を見合わせ微笑みを交わした。