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フェンリル ~オペレーション マーゴン~  作者: みくた
オペレーション マーゴン
24/56

行軍終了

「こちらレーベン、ポイント“シンハー”到着。」

 ミツバが無線で行軍のゴール地点に到着したことを本部に告げた。

 数百メートル先にはクロチャの森の木々が壁のようにそびえたっている。

「やつはここにもいないな・・・」

 姿勢を低くし周囲を探るジャックだったが、ランスの姿は発見できず声を漏らす。

「待ってたぜ。」

 ジャックのすぐ近くで仰向けに寝そべっていたランスは、そう言いながらムクリと起き上がった。

「たった今ビーストマンとも合流した。」

 横目でランスの存在を確認したミツバが追加で報告を上げる。

「なんだいたのか・・・どこに行ってた?」

「ちょっと流されて森に降りたんだ。」

 ランスは親指で森を指し質問に答えた。

「行軍をまるまるブッチとは、中々やるな。」

「茶化すなよ。飛び出しで危うく死にかけて銃を失くした上、敵とも接触しかけたんだ。」

「しかけた?接触したんじゃないのか?」

 弁明するランスの持っているAKMとチェストリグを指してジャックは指摘する。

「いや、こいつは・・・」

 ランスは先程、森で起こったことを説明した。

「組織の内部崩壊が起こっているんでしょうか?」

 話を聞いたミツバが私見を述べる。

「あれだけじゃなんとも言えんな。」

「だが、崩壊してたとしてもそれはそれで厄介だな。」

 ジャックが不安を口にする。

 統率が完全に失われた組織はどんな行動に出るか予測出来ない。

「なんにせよ情報収集をしないことには何もわからない。」

「それじゃ、始めますか?」

 ランスの言葉にミツバは行動開始の確認をした。

「いや、その前に・・・ジャック、俺の五・五六ミリ弾を貰ってくれ。」

 おもむろにバックパックを開いたランスは五・五六ミリ弾詰まったマガジンを十二本取り出し、M4を装備するジャックに差し出した。ランスが現在装備しているAKMは七・六二ミリ弾を使用するため弾種が違う。

「ありがたく使わせてもらうが、六本はそっちで持っといてくれ。」

 ジャックはそう言ってマガジン半分を受け取った。

「よし、それじゃあ行くか。」

 準備が完了すると三人は立ち上がり、森へと入っていった。

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