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だからM4は嫌だったんだ・・・
落下によって加速するはずのランスの身体が、強く締めつけられる感覚とともに急停止した。ジャックとミツバは既に視界から消えている。
「ぁ・・・っ!・・・っ!」
輸送機の飛行風に揺さぶられながら、どんどん強くなる締めつけにランスは声にならない声を上げもがく。どうやら何かが引っかかってしまったらしい。
このままでは命に関わるため、ランスは回転を失いつつある頭をフル稼働させ、引っかかっている物を特定し腰に取り付けられたナイフを抜くと、無我夢中でそれを斬り裂いた。
身体が開放され、そのままランスは落下し輸送機から離れていった。
「はぁー・・・ああ、クッソ・・・!」
自由落下をしながら大きく息を吐いたランスは、幸先の悪いスタートと通常ではありえないトラブルに対し悪態をつく。
そして、パラシュートを開いた。
「何が原因だ?」
落下速度が遅くなりある程度の余裕が出来たランスは、降下しながら装備の点検を始めた。
「・・・おいマジか。」
一通り確認したところで、あることに気づき呆然とする。
銃がなくなっていた。
「だからM4は嫌だったんだ・・・」




