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こういうことである。
分析の結果、十個の丸それぞれに吹きかけられた香水は以下のようであった【図10】。
四文字目の一本目までは、何かはわからないが、四種類(①~④)の香水が使われていて、それ以外は四種類のうちどれでもなかった(⑤~⑦)。
ここから少々ややこしいので、数学が苦手な人は結論まで読み飛ばしてかまわない。そうでない人は、思い出してほしい。暗号には七種類の香水が使われていて、まず三文字目まで考えると、全て取りうる順列の総数は、「七つのものから四つ選んで ①~④ に割り振る」ので、840通りといえる(「ん」以降の空白含む)。
これは多いだろうか。いや、書き下そうと思えば、数時間でできる。しかし、現代に生きる我々はそんなことさえしなくて良い。文明の利器、PCがあるではないか。PC一台あればプログラムを組み、840通りの三文字」を全て抽出することができる。そして、そこから「日本語として意味をなすもの」を拾えばよいのである。
さらに極論を言えば、これまでの話から「三文字」を推定し、香水をある程度特定できれば、一気に時間を短縮することだってできる。やってみよう。
分析結果が出るまでに考えたことだが、暗号に「中継地点」が書いてあったとは思えない。集合場所はあくまで森勢神社だったのである。そうだとして、試しに三文字目までは「モリセ」だとしよう。すると、①はディオール、②はイヴサンローラン、③はクリード、④はグッチと見事に合てはまり、十分妥当といえる【図9,11】。
四文字目の一本目はクリードで、二本目はわからないのでここであきらめよう、とはならない。考えると、四文字目の二本目以降は「それまで出た以外の三種類」なのである。一本目がクリードであり、且つ、二本目はドルガバ、シャネル、ブルガリのうちどれかなら、四文字目は「や」「よ」「ら」のいずれかである。「や」だとしよう。すると、四文字目の二本目にドルガバがあてがわれ【図12】、五文字目に使用された香水はシャネル、ブルガリしかなくなる。
もう明らかだろう。「シャネル、シャネル」のように重複もあり得ないのであり、五文字目の候補は以下まで絞り込める【図13】。
日本語として意味があり、且つ、適すると思える方を選べば、五文字目は「ね」。
四文字目が「よ」か「ら」である場合、ふさわしい仮名の組み合わせがあるとは思えない。余力のある人はぜひ試してほしい。
つまり、以上の話から、暗号に書いてあった言葉は。
モリセ屋根




