4-4
出来るだけ、花を鑑賞する風変わりな少年を装いつつ、私は端から花壇を丹念に眺めていった。すると、三つ目か四つ目で、すでに奸悪の便りと化した紙が土に刺さっているのを見つけた。全部で三文字。
ハズレ
「ハズレなら書かなくていいだろ」私は紙を握り潰し、なおも捜索を続ける。
一番端まで来たとき、木の影になって目立たない花壇の一部が、不自然に盛り上がっているのに気づいた。ほじくり返された土がまだ水気を保っていて、かなり濃く茶色がかっている。
ここだ。人目にもつきづらいし、間違いない。
最初は靴のかかとで土を掻き出そうとした。しかし連中の掘った穴は思いのほか深く、途中で諦め、素手に切り替えた。両手首が完全に土まみれになったとき、指先に小冊子のようなものが触れた。何かも確かめず、私はその端をつかんで、一気に引っ張り上げた。それは国語の教科書の下巻だった。気が利いていて、コンビニの袋に入っている、ということは全くなく、それは完全に裸で土に埋まっていた。
「あいつら、せめて上巻にしろよ」
カラスが馬鹿にした鳴き声をあげ、飛び去っていった、ことにしよう。因果応報を学び始めたこの世間知らずの少年に捧げる情景として。
このようにして、私はそれから半年間、どのページを開いてもさらさらと砂がこぼれる教科書で授業を受けなければならかったのである。




