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4-3

 いよいよ暗号遊びらしくなってきた、と道すがら思ったが、全く嬉しくなかった。幸夫から難なく手がかりを入手したわけだが、依然自分の部屋から何が奪われたかはわからない。


 受け取った紙片に書かれた文字は、全部で七文字。一文字目、六文字目にそれぞれ濁点がついていて、二文字目は他の丸と比べて小さい。さらに四文字目と三文字目の間に空白がある。


 私は紙片を見た時点で、四文字目までは「ガッコウ」であると予想していた。幸夫のアパートを離れ、車通りの少ない路地に入ったとき、自転車に跨りながら紙片の匂いを嗅いだ。


 やはり。


 ガッコウ カダン


 もはや言うまでもなく休日だったのだろうが、あの頃、小学校の門は大抵開いていて、登校時間外でも問題なく校内に出入りすることができた。正門の前で一人自転車を停め、敷地に入ると、用務員の先生に声をかけられた。「忘れ物かい?」


 バブルが崩壊して数年経っていたが、まだ大人たちの顔に明るさが残っていたように思う。いつもにこにこしていた用務員の先生に、私は「花壇の花を見たくなって」と当たり障りない言葉を返し、その場をやり過ごした。


 さて、シャベルもスコップも持っていなかったが、やるしかなかった。玄関前のスペースには、歩道を隔てる柵に沿って、いくつもの花壇が並んでいる。コスモス?キンモクセイ?何の花が植えられていたか、もちろん記録を取っていたわけではない。しかし、紫や黄色の小ぶりな花々が、等間隔に揃っていた光景はうっすらと思い出せる。

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