序章 第一話 導かれるままに
初めまして。幻夢霞です。本作が一作目で、文章が稚拙なところがありますが、温かい目で見ていただけると幸いです。
ありふれた異世界召喚に飽きた方に、ぜひ読んでいただきたいです。
*物語が動き出すのは3話からの予定です。退屈だと感じる方は、そこから読んでいただけるといいかと思います。
二年と少し通っている大学からの帰路。空は分厚い雲で覆われ、いつ雨が降り出してもおかしくはなさそうだ。確かあの雲は積乱雲だっただろうか。中学生のころに学んだことなど最早うる覚えだ。
「はぁ」
本日何度目かもわからないため息がこぼれる。家までの帰り道はいつもこうだ。いや、いつでもかもしれないな。どうしてあの時俺は・・・、とずっと後悔したままだ。二年前のあの日から。もしやり直せるならばやり直したいところだが、現実はそう甘くはない。漫画やアニメのように時間を巻き戻すか、どこか違う世界にでも行けたらと考えてしまうのは現実逃避なんだろうなと思う。そんなことはできるはずもないというのに。
「なんだ、あれは」
ふと、路地裏から光が漏れているのに気が付いた。路地裏に入ってみると白く淡い光を放つ球体がふわふわ浮いていた。環境音がピタリと止み、まるで世界が止まってしまったかのように感じる。非現実的な状況に本能的な恐怖が沸き上がる。どう考えてもヤバい。関わらないほうが身のためだと、すぐさま理性が警鐘を鳴らす。しかし、そんなものに意味はなかった。縫い付けられたかのように視線を球体から外すことができない。次第に一歩、二歩と足を踏み出し、見えない糸に手繰り寄せられるように体が引き寄せられていく。
球体は大体直径 50cm くらいで、内側には白みがかった白銀色と白百合色の靄がゆらゆらと漂っていた。
「綺麗だ・・・」
ぽつりと口から零れ落ちる。先ほどまでの恐怖はどこに行ってしまったのか、しばらく目を奪われていた。それは何故か暖かく優しい気がした。
その温もりに導かれるように手を伸ばす。
「えっ・・・」
手が触れた途端、球体は目も眩むような光を放ち、次の瞬間には視界は真っ白に染め上げられていた。光が収まった路地裏には人の姿は無かった。梅雨の始まりを告げる雨が降り出していた。
自分で考えた物語を文字に起こすというのは、思っていた以上に難しいですね。