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私の可愛い子

作者: ナナシ

 可愛いあの子は本当に時々にしか甘えてこない。

基本的に1人が好きみたいで、一人で日向ぼっこしたりお昼寝をしたりするのが日課だ。

 それでもやはり寂しい時は寂しいのだろう。

人が本を読んでいたり、小説を書いていると気がついたらぺとっと人の側に寄り添っていてその頭を撫でてあげると嬉しそうに目を細める。

 頭を撫でるのを途端に止めるとなんで止めるの!?とばかりに睨んできてもっと撫でてと頭を手に擦り寄せるのだ。

それが可愛くて可愛くてついつい構ってしまうのだが、あの子は自分が満足するともういいとばかりに自分から離れてしまい、少し寂しさを覚えたりする。

 可愛い可愛いあの子は実は私なんかよりも一番上の兄に懐いていて、兄を見つけると一目散に飛んでいく。

微笑ましいなぁと思う反面少し悔しいなぁと思いを抱く私に、兄が勝ち誇ったような笑みを浮かべるのがこれまた腹立たしい。

 まぁ、3日勤務して3日休みという普段の人よりも休みが多い兄だから、一番あの子と接する時間が長いというアドバンテージがあるからあの子も懐いているんだろうなぁという事が分かる。

 「本当にこの子可愛いよねぇ……」

「本当なぁ……あ、羽が抜けた」

「みょ?」

兄の肩の上にいるあの子は残像が見える程の速さで足を使って頭をかき、ふわりと小さな羽が抜けた。

「あ、指近づけたらカキカキしてって来た……まじ癒されるわぁ」

体長20センチもない可愛い可愛い愛鳥は兄の指に頭を寄せてなされるがままうっとりとしている。

しまいには溶けたアイスみたいにでろーーんとしてしまって家族皆で笑った。

「みょ!みょ!!」

笑うなぁ!とばかりに少しばかり大きな声で鳴く愛鳥だが、可愛いだけで迫力があまり無い。

 「あぁ〜あ、不貞腐れちゃった」

不貞腐れた愛鳥がケージの上に飛んでいき、一羽でお気に入りのおもちゃの側にぺちょっと体をくっつける。




 そして、各々自分のやりたい事をし始めると寂しくなったのか、私の肩に飛んできて私がいじっているスマートフォンのケースを噛んだり、指を甘噛みしたりするのであった。

 「構ってほしいの〜?しょうがないなぁ〜」

スマートフォンを置いてさぁ構ってやろうと指を近づけた瞬間バタバタとテーブルの下へと飛んでいってしまい、私はがっくりとうな垂れた。

一応飼い主なんだけどなあ………兄ちゃんだけじゃなくて私にも懐いて欲しいんだけどなぁ………とほんの少しだけ涙するのであった。

 「ペットは飼い主によく似るって言うけど本当だね」

「うっせぇ、ばーか」

一応言わせて貰うが私は捻くれ者であってけしてツンデレではない。

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