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3 魔法とは

ん?魔法?と思ったそこのあなた!


そう!何と、僕は魔法が使えるようなのだ!


「魔王様は魔力をお持ちなので、魔法を使用することが出来ます。

魔法とは魔力の出力のことで、魔力を出力するには…うんたらかんたら…」


って、ウル君が教えてくれたので、最近魔法を使う練習を始めたのだ!

ウル君によると、なんでも僕は魔力が高く、魔法を使う素質も高いらしい。

やったぜ!


でも、ということは、やはり『限りなく魔王に近いグレー』なのだろうか。


だがしかし、そんなことより今は魔法の訓練が先だ。

素質があるってんなら、使わない手はない。

ウル君情報では、魔法は大別して、攻撃系・回復系・移動系の3つになるらしい。

そして、使用できる人数では攻撃系>回復系>移動系となり、

「移動系を使えるのは、珍しいですよ。」とのこと。

そう言ってるウル君は移動系の魔法を使えるらしいじゃないか。

隅に置けないイケメンだぜ、全く。


そうは言っても、


「なんか難しい呪文みたいなのがあるのでは?そういうの覚えるの苦手だし、声に出して言うのなんか恥ずかしいなあ。」


なんて愚痴っぽくこぼしていたら、


「呪文?というのはありませんし、特に何か声に出す必要もありませんよ。」


だって。ラッキー!


だけど、そう思ったのは最初だけで、覚えることはない代わりに、実践あるのみって感じで練習漬けの毎日になってからは、『正直しんどい』と思っていた。


ただ、その甲斐あって、練習を始めて1ヶ月程度で、基本的な魔法は使えるようになった。


僕は、自分で言うのも何だが、全ての系統の魔法が使える。

全ての系統が使える人を【3つ持ち】と言うこともあるらしく、2系統だと【2つ持ち】、1系統だと、【1つ持ち】になるんだとウル君が教えてくれた。

普通は、1系統か、使えても2系統までらしいので、本当に素質あったんだ。

いや、ウル君の教え方が良かったのかもな。

因みに、ウル君は攻撃系と移動系の魔法が使える【2つ持ち】で、エル君は攻撃系と回復系の魔法が使える【2つ持ち】なんだそうな。

ウル君は「特にこっちの方が得意ということはありませんね。」ってことだったけど、エル君の「回復系の方が得意です」ってのを聞いて、

(エル君って、見た目がっちりタイプなのに、回復系使えるんだ、むしろ回復系のが得意なんだ、なんか意外)

って思ったのは、内緒にしておこう。


最初に攻撃系を覚えたんだけど、火や水といったこの世界にもある物質を魔力から作り出して、それを魔力で操作するといった感じ。

言葉では簡単だが、イメージとセンスが大事らしく、最初は難儀した。

発動の条件となる基本動作は、手のひらを正面に向けて、腕を伸ばして発動する感じ。

上達すると、腕は伸ばさなくて良くなるし、何より発動までの時間を短縮できるようだ。

多くの魔力を込めればその分高出力の魔法として使える訳だが、その魔力量の調整や発動してからの操作は、本当練習や実戦積まないと鍛えられないと思う。

それに、物質によって得手不得手があるみたいで、苦手な物質で練習してもあまり伸びないのだとか。

こういうのを、この世界では「属性」があるとかないとか言う訳だ。

そもそも魔法は本来、子どもの頃から練習した方が上達が早いらしい。

その辺は、元の世界の感覚から理解し易いところだ。

でも、僕はもうおっさんだなんですけど。

ただ、センスだけでこなせちゃう天才型もいるらしいけどね。

そういうのは、どこの世界でも同じようなものなのかね。

あと、これは全ての系統の魔法に言えることで、魔力は魔法を使用しすぎると無くなってしまう。

そうなると、しばらく魔法が使えない。

時間が経つと自然に回復するそうだが、「魔力量が多い魔王様に限ってそのようなことはないとは思いますが、使い過ぎにはご注意ください。」だって。


次に覚えたのが、回復系。

回復系は人とか物が傷ついたり壊れたりしたときに、元の状態に戻す魔法らしい。

基本動作は、回復したい対象に触れていること。

普通はせいぜい人のちょっとした傷を治すとか、疲労を回復させる程度だという。

ただ、優秀な回復系魔法の使い手になると、欠損した体の一部をを元に戻したり、魔力を回復させるなんてこともできるのだとか。

もっと、優秀な使い手は触れてなくても回復させることができるらしい。

しかも、対象は本人が任意に決められるみたい。

さすがに死んだ者を蘇らせることはできないみたいだけど。

それ以外に強いて欠点を挙げるとすれば、自分で自分の魔力は回復ができないということだろうか。

っていうか、エル君いれば、もしかして魔力切れとか心配しなくていいのでは?それくらいきっとエル君ならできるっしょ!と思ったが、それは敢えてつっこまなかった。


最後に覚えたのが、移動系だ。

これは、ある場所からある場所へ瞬時に移動できるというもの。

基本動作は、目を閉じ移動先の場所を認識すること。

この基本動作に要する時間は、移動距離に比例するそうだが、上達すると、時間の短縮が可能になるらしい。

魔力量や生まれつきの性質により、狭い範囲のみの移動が可能な者と、広範囲の移動が可能な者とに分かれるのだそうだ。

狭い範囲の移動は、数メートルから数十メートルくらいが移動限度で、広範囲の移動はそれこそ魔力量によっては際限ないらしいが、ウル君で数百キロメートルの移動が可能なようだ。

ただし、移動できるのは事前に認識している場所に限られるので、行ったこともないような知らない場所への移動は、通常、まず無理だという。

そして、回復系か移動系もしくはその両方の魔法が使えるなら、センスと訓練次第で、魔力感知つまり相手の魔力量を知ることができる能力を得られるらしいのだ。

もう一つ、移動系魔法を使えるなら、一度認識したことがある場所は、その時視認していなくても、あたかも視認しているような状態にすることができるという能力もあるらしい。

聞いただけではちょっと良く分からなかったが、兎に角、かなりのセンスと魔力量、そして訓練が必要だそうで、

「実際に人間で使えるのはごく少数」

というのがウル君の見解だが、これができれば、遠い場所のことも分かるというのだから、とても便利だ。

しかも、これができる移動系魔法の使い手ならば、自分だけでなく、周りの人まで一緒に移動することも可能だというのだから驚きだよね。

移動系の魔法使える人が「レア」な理由が分かった気がするわ。

僕はというと、移動系の魔法は、まだこの部屋の中を移動するだけだし、感知とかまではできていないので、まだまだ訓練が必要ということだな。

「魔王様なら、すぐに全て使えるようになります!」

ってウル君が言ってたからね、おじさん、信じて頑張るからね!ウル君!


そうやって、さらに1ヶ月くらい練習に励んでいたある日のこと。


ウル君が改まった様子で


「魔王様、お話があるのですが、今ちょっとよろしいでしょうか。」


え?何?何言われんの? もしかして、ついに来たのか?

お金のことかな?家賃とか食費とか。でも、食費はかかってないよね?

ならやっぱり家賃か、でも僕、今無職だし、お金ないし、一体どうすれば…

と少し?パニック気味に、一人でぐるぐる考えていたら、


「魔王様?」


と心配そうな顔になっていたので、心の中で(落ち着け僕!)と宥めつつ、


「あ、ああ話ね、いいよ、どうしたの?」


と若干どもりながら答えると、


「そろそろ一度外に出てみるというのは、いかがでしょうか?」


と予想外の言葉が返って来た。


外?

そういえば確かに、こっちに来てから約3ヶ月、全っ然外に出てなかった。

もとより出不精なんで、もう全っ然気にならなかったよ。

だって、ここは部屋物凄く広くてたくさんあるし、それこそ魔法の練習が出来るくらいに。それに凄く快適だったし。

でも、ははは…そりゃそうだよね。

3ヶ月も引き籠ってたらそう言いたくもなるよね。


「そうだね。そろそろ一度外に出てみようか。」


ほぼオウム返しになってしまった。恥ずかしい。


「では、早速準備いたしますので、まずは一番近い村へ行ってみましょう!」


え?

いきなり村?

人がいるところだよね?

大丈夫なのそれ?とか思ったが、

ウル君があまりにも嬉しそうに準備し始めたので、何も言えなかった…

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