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10 魔王、魔法のひたすら訓練!

この間の話し合い以来、ウル君のスパルタ魔法教室が開講してしまっていた。

いや、ウル君はいつも通り優しく爽やかに教えてくれているのだが、メニューをこなすのがしんどいのだ。

毎日、基本的な魔法の練習から始まり応用的なところまで、果ては流操術の習得に役立つといって瞑想までさせられる始末。

こんな感じのウル君が作ったメニューを、魔王教4人の幹部で分担して教えてくれる訳だが、いくら、食事も睡眠も必要ないとはいえ、心は何度か、いや、何度も折れそうになった。

しかし、ウル君が折角作ってくれたメニューで、幹部の子たちも一生懸命教えてくれるので、投げ出す訳にもいかなかったのだ。

それに、ユイ様が担当する時は、何故か自然とやる気が出た。

「魔王様、すごいです!」とか言われた日には、どこまででも頑張れるような気さえした。

これが、世に言う『ユイ様―ズハイ』というやつだろうか。


全然話は違うのだが、魔王教のメンバーって皆美形だし、ユイ様筆頭に女性っぽい見た目のメンバーでグループ作ったら、最強のアイドルグループが作れるんじゃなかろうか。

勿論、僕がプロデューサーで。

そしたら、なんか違う意味で天下獲れるんじゃないかと本気マジで思ってます。


そう、僕は、こんな妄想をするくらいに、ハードなメニューを日々こなしていたのだ。


それから、僕は魔法の訓練以外にも、エル君と未開地に赴き、人間界で高値で取引されるという鉱石やら植物やらを採取したり、レイパナラ村を始めとして、その他の村々や少し大きめの町にも内密に訪れるようになっていた。

いろいろな村や町を訪れることで、移動魔法で移動できるようにしておくことができるし、本格的に動く前の情報収集を行うためだ。

僕は、この頃には広範囲の移動魔法もできるようになっていて、移動するのにウル君に頼る必要もなくなっていた。

それに、エル君と一緒に働くことで、晴れて無職からも脱却していた。

収集した鉱石等は、大きめの町に持って行くことで、取引することができた。

実は、町くらい大きな所になると、魔王教メンバー以外にも、彼らの仲間で上手く人間社会に溶け込んでいる者達がいて、そういう取引を仲介してくれていたのだ。

また、単に普通の人間相手でも、ちゃんとした物さえ渡してしまえば、顔やら何やらをいちいち確認することもなく、取引してくれるような者も中にはいたので、案外、お金を得るのには困らなかった。

そうやって、僕は、この世界に徐々に馴染み始めていた。


一方、魔法の方はというと、ウル君の新メニューで訓練し始めて、約2ヶ月くらいで、魔力感知(未知の知)が使えるようになっていた。

それで、ようやく自分と皆の魔力を感じとれるようになった訳だが、我ながら自分の魔力が並ではないことが感じとれた。

しかし、魔力を感じとれるようになって初めて、ウル君や他の魔王教メンバーの魔力操作がいかに洗練されているかも同時に感じとれるようになっていた。

流操術を使えるメンバーは、自分達の魔力をまるでコーティングでもしているかのようにきれいに纏っていた。

一見すると、流操術を使っていない方が、魔力量が多く見えるのだが、よくよく見てみれば、その魔力の質と美しさが段違いなのが見てとれた。

ウル君が僕に習得させたがっていたのが、今なら分かる。

僕が流操術を習得できたのは、それからさらに1ヶ月くらい後だったが、習得するのには、瞑想のメニューが思いの外効果を発揮していた。

あれがなければ、もう少し時間がかかっていたかもしれない。

さすが、ウル君の訓練メニューだ。

そして、煉爆術に関しては、流操術の応用的な位置付けなので、流操術を身につけていれば、それほど難しいものではないらしいのだが、いかんせん、これは実戦でこそ効果を発揮する技術のため、実戦経験の乏しい僕は、伸び悩んでいた。


それでも、ウル君の素晴らしく、そして過酷な訓練メニューにより、僕の魔法技術は確実に向上していった。


そんなある日、セタレイトニア王国のある村を偵察していた魔王教のメンバーが慌てた様子で部屋に入ってきて、ウル君に何かを報告していた。

気になったので、僕はウル君に聞いてみた。


「どうしたの?何かあった?」

「タダーパ村を偵察していた者から、村が魔獣に襲撃されているとの報告がありました。」

「それは、村の人達が危ない状況ってこと?」

「ええ、村の護衛は既に傷を負い、村の中に魔獣が侵入するのも時間の問題のようです。」

「そうか、なら、助けに行こう。」

「魔王様の仰せのままに。私とエルが同行いたします。」

「分かった。じゃ、行こうか。」


こうして、僕達は、村を襲撃したという魔獣の討伐のため、セタレイトニア王国タダーパ村へと向かった。

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