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1 転生からの魔王降臨?

36歳無職。

とうとうこの年にして職を失い、というか自ら退職したんだが、彼女も友人もいないし、もう生きる希望も無くなってしまった。なによりもう疲れてしまった。

お父さんお母さんごめんなさい、どうか先立つ息子を許してください。

そう心の中で謝って、僕は暗い自室で首を吊った。

薄れゆく意識の中で、何か光のようなものを見た気がした。

なんだろう…気のせいかな…

じゃあ、さようなら…



ふと目を開けると、僕は知らないだだっ広い部屋?で何とも仰々しい椅子に座っていた。

ここはどこだろう?僕は、死ねなかったのかな?

そう考えていると、どこからか声が聞こえた。


「魔王様!」


マオウ?

僕のことか?

そんな名前じゃないけど、ここは病院じゃないのだろうか?

突然のことに考えが纏らず黙っていると、立て続けにさっきの声が聞こえた。


「ようやく降臨されたのですね!この時をどんなに待ち望んだことか!」


その声の主は僕に駆け寄り、目の前に跪いてこう言った。


「どうか私共をお導きくださいませ!」


少し長めの銀色の髪に端正な顔立ち、かなり色白だが、高身長のイケメンだ。

歳は20歳前後といったところだろうか。

服装は白衣等ではないし、見た目からも病院職員には見えないな。

ローブのようなものを着ている、あまり見ない格好だ。

うん、近くで見てもやはり知らない人だ。


それよりも全く何を言っているのか分からない。

いや、言葉は分かるのだが、意味が分からない。


「あの、誰かと勘違いしてませんか?というかここはどこなんですか?」


冷静に尋ねたつもりだったが、気付くと少し語気が強めになっていた。


「すみません、突然のことでしたので、魔王様も混乱なさってますよね、私もあまりの嬉しさについ取り乱してしまいました。失礼いたしました。」


いや、この状況を説明して欲しいのだが!と思っていると、それが顔に出ていたのか、彼は続けて、


「ここは、我々魔王教の本部でございます。その玉座は魔王様のためにご用意していたものでございます。我々の日々の祈りが届き、今日いまここにまさにあなた様が降臨なさったのです。故に、あなた様は我々にとって魔王様なのです。」


何だか頑張って説明してくれているが、正直よく分からない。

分からないが、彼の話す間、僕は自分の体に違和感があることに気付いた。

何か見た目変わってね?

鏡が無いので分からないが、たぶんこれ顔も違うよね?


僕は、自分の体の変化にパニック寸前だったが、何とか堪えて、努めて冷静に目の前の彼にいろいろと質問をしてみた。

彼は、僕の質問にとても真摯に答えてくれているように見えたので、僕も彼の言うことを一旦信じてみることにした。


それによると、ここは僕が元いた世界とは異なる世界のようで、自分の姿を鏡で見せてもらったが、予想通り、僕も元の僕の姿ではなかった。


顔はまあ人間っぽいが、元の顔とは大分違う。

それでも、顔の変化についてはまだ何とか許せる範囲だ。

体は何だろう、全体的に白く、凄く硬い、金属のようでそうではないというか。

しかし、普通に動かせるので、こんなのはとても良心的に思えるレベル。



何故なら、これらの違いがどうでもよく思えるくらいの変化が一つある。


ない!

股間にあった立派なモノが!

どうしてくれるのこれ。

この歳で僕は立派なオカマになりましたってか!


これが、本当のオカマ王ってか!!!


・・・・・・


あまりのことだったので、少し取り乱してしまった。

声に出して言わなかったのは、正解だったな。

危うく大事故になるところだったぜ。


・・・・・・


さっ、ということで、どういう原理なのかは分からないが、どうやら僕は元いた世界では死に、この世界へ記憶を残して今の姿で転生してしまったようだ。


魔王として…?


かどうかはまだ分からない訳だが、兎に角、今はこの現状を受け入れるところから始めてみるしかないでしょ、これ。

まずはこの世界のこと、それからこの世界の人々のことを調べてみるか。

幸い、言葉も通じるし、良くしてくれるイケメン君が身近にいるし、この世界もどうも元の世界とよく似ているみたいだから、何とかなるだろ、うん。


難しいことを考えるのを後回しにするよくない癖が出ているなとは思いつつも、こういう状況になってしまったものは仕方ないだろと自分に言い聞かせ、無理矢理自分を納得させた。


そう、たぶん、何とかなる…


よね?


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