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第56話 ゾンビ撃退シナリオの発動条件を満たしました

 炎をまとったゾンビが外堀を越えて、外壁に迫ってきた――。

 

 しかも1体だけじゃない。2体、3体と次々に真っ黒になったゾンビたちが門に向かってズリズリと体を引きずりながら歩いてくる。

 1歩進むたびに焼け焦げた体が剥がれ落ちていくさまは、いやぁ、気持ち悪いの一言につきるな。

 あれほど「こんがり肉食べたぁぁい!」とか言ってたエアリスですら「今夜はお肉を食べるのはやめだね。うん」と顔を白くしている。

 だが相手はゾンビだ。これくらいは想定内だよ。

 むしろこうでなくては困る。


 ――ドンドンドン!!


 巨大な門を懸命に叩くゾンビたち。

 すぐに門の前はいっぱいになり、残ったゾンビは散り散りになって外壁を叩きはじめた。


「あはは! なすすべなし、って感じだね。そうか、そうか。中にこもったまま出てこないつもりだね。でもいつまで持つかな? 食糧が尽きた時点で君たちの負けさ! あははは!!」


 ああ、兵糧攻めのつもりなんだな。

 でもダンジョントンネルで王都に戻れば、食糧なんていくらでも調達でるんだよなぁ。

 そもそも第54層と拠点はつながってるし。

 イノシシの肉に困ることはない。

 だからこのまま放置しておく、という手もあるんだけど、いつまでもニックの声を聞いていたくない。

 それにそろそろ頃合いだ。

 うん、追い出そう――。


「サン、門を開けるぞ」

「へっ?」


 目を丸くするサン。

 ちょっと言ってる意味分かんないんですけど、って顔だ。

 じゃあ、種明かしといきますか。


「ゾンビをよく見てみろ」

「は、はい。ええっと……あっ!」


 ようやくサンも気づいたようだ。

 ゾンビたちの体にピンク色に光っている箇所があるのを……。


「彼らの肉体は『コア』を守るための鎧。火を使ってその鎧をはがしたってことだ」


 そう言いながら俺はステータス画面を開き、モンスター・オートメーションのシナリオを作った。


【ゾンビ撃退シナリオ】

発動条件:もしゾンビのコアを見つけたら

発動内容:ぶっ壊す


「よし、これで完了!」

「ピートさん! さすがです!!」


 テンションの上がったサンが両手をぎゅっと握ってきた。

 柔らかな感触がした瞬間に、顔が熱くなり思わず目が大きくなってしまった。

 そんな俺を見たサンもまた顔を真っ赤にして手を離した。


「ご、ごめんなさい!」

「い、いや、いいんだ」


 ちょっと気まずい空気の中、はしごを下りていく。

 その途中で外壁の上からドワーフのおっさんの「青春だねぇ」という声が耳に入ったが、気にしないでおこう。

 

 ……いらぬところで話がそれてしまったが、とにかく準備は整った。


「ご主人様! 遅くなりました!」

「ピート! ピピもとうちゃくー!」

「おお、きたか! わざわざありがとう!!」


 ルナとピピにも駆けつけてもらったよ。

 ここからは総力戦。

 弱点が丸裸になったとはいえ、ゾンビのレベルは仲間たちよりも遥かに高い。

 そんな中にあってルナたちの戦力はかなり心強いからな。


「みんな! 今からが本番だ!! 全力で戦おう!!」

「「おおっ!!」」


 最後に気合いを入れた後、俺はサンとともに門を開けた。

 同時にゾンビが拠点の中になだれ込んでくる。


『ゾンビ撃退シナリオの発動条件を満たしました』


 さあ、いよいよ戦闘開始だ――!

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