第50話 ダンジョンマスターなるものに就任したらしい
ということで、今日は厨房に立たなくても大丈夫そうだ。
畑仕事がひと段落したら、完成したという外壁と外堀を見回ってくるかな。
特にヘルグリズリーが担当した部分ね。
彼らは調達はすごく得意なんだけど、いかんせん不器用すぎてな。
石を積んで壁を作るのは難しかったと思うんだ。
万が一壁にほころびができたらマズイし。
そう考えて再びクワを手にすると、サンがてのひらに例の腕輪っぽいものを乗せて問いかけてきた。
「ピートさん、ところでその腕輪らしきものはどうしましょう? 私が捨てておきましょうか?」
うむ。なんかポイっと捨ててしまうのももったいない気がするな。
かと言って、わざわざこれを鑑定するためだけに王都に戻るというのもめんどうだ。
だれかにあげるわけにもいかないし……。
何気なく腕輪っぽいものを手に取ってみる。
すると腕輪が白い光を放ったのである。
「な、なんだ?」
訳が分からずサンと顔を合わせると、例の無機質な女性の声が脳裏に響いてきた。
『【マスターのペンダント】と【マスターの腕輪】を手に入れたので、ダンジョンマスターの資格を手に入れました』
「ダンジョンマスターの資格? どういうことだ?」
意味が分からない。だが白く光っている腕輪が関係しているのは間違いなさそうだ。
『おめでとうございます。ダンジョンNo16のマスターとして登録されました。ダンジョンマスター登録のボーナスとして【フロア拡張Lv1】のスキルを手に入れました』
全然状況がつかめないけど、今、俺はこのダンジョンのマスターってやつに就任したみたいだ。
【フロア拡張】ってスキルは興味があるな。
このフロアにはやたら広い草原と森があるけど、それを広げることができるのか?
明日にでも試してみるか。
ところでダンジョンマスターって何をすればいいんだろ?
『ダンジョンNo16のランキングは356位です。1位を目指して頑張りましょう』
ランキング?
356位?
ちなみに1位になったら何かいいことでもあるのか?
色んな疑問はつきないが、全部後回しにせざるを得ない事態が迫っていたようで……。
「ピート!! わるいやつ、またくる!!」
牙をむき出しにしたピピが文字通りに飛んでやってきた。
彼女のスキル【超索敵】が反応したに違いない。
「ピートさん……。もしかして……」
「ああ、間違いなくニックだろ」
みんなには悪いが、晩飯前にもうひと仕事してもらう必要があるな。
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名前:ピート・アイリス
所属:ダンジョンNo16
役職:ダンジョンマスター
ランキング:356位
レベル:124
HP:13720
MP:4020(+22178)
腕力:304(+1210)
防御力:328(+1320)
魔力:526(+1677)
スピード:587(+1842)
スキル:
モンスター・オートメーション、モンスタートーク、ステータスオープン、ステータス同化、一定ダメージ以下物理無効、精神魔法無効、物理耐性Up(極大)、魔法耐性Up(極大)、会心率Up(極大)、素手攻撃力Up(極大)、ホワイトスパーク、超索敵、飛翔、人間に変化、デスウィスパー、アイスブレード、剣技(中級)、フロア拡張Lv1
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