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第35話 【閑話】ニックにざまぁするまで⑥

◇◇


 まさかピートが生きていたなんて……。

 しかも大幅に強化されたトラビスをたった一撃で倒すほど強くなっていた……。

 それだけじゃない。

 何よりもショックだったのは、あんなに可愛い女の子たちに囲まれて平和に暮らしているという事実だ。


「くっそ……。あの野郎……。絶対に許すもんか……」


 第52層の片隅で、僕は物言わなくなったトラビスに火をつける。

 こうこうと燃え上がる炎と、鼻につく焦げた臭い。

 このまま大人しく引きさがるわけにはいかない。

 それにあの御方に不甲斐ない僕の姿なんか見せたくないしね。

 ドラゴンやヘルグリズリーの肉が干してあるのを見たから、ヤツらが第53層のモンスターハウスでモンスターを狩って食糧調達をしているのは間違いない。

 どんなからくりかは分からないけど、ピートはあそこでレベルアップしたんだろう。

 ヤツにできて僕にできないことなんてあってたまるか。


 そう言えば、モンスターハウスに出てくるモンスターと、ここ第52層に出てくるモンスターは同じだったな。

 あはは。いいことを思いついたぞ。

 圧倒的な量のモンスターを率いて乗り込んでやろう。

 そうだな。2000体は欲しいな。

 

 そこで僕はここ、第52層で兵力を集めることにした。

 集め方は簡単。ただ単にモンスターを殺すだけ。

 死んだモンスターはゾンビになって僕の犬に生まれ変わるというわけだ。

 僕のレベルも上がるし、肉も食える。

 どうせ肉は腐って骨だけになるから、別に食っても問題ない。


 けど第52層は迷路になっているし、滅多にモンスターが出てこないから少し時間はかかってしまうのが難点ではある。

 でもあの御方からは期限は定められていない。

 封印が解かれるまで数百年も眠らされていたんだ。

 ほんの数日くらい遅れたって文句をつけてくるような度量の狭い人ではないだろう。

 それにピートのヤツに気づかれずに計画を進めたいからね。


 あはは。あの御方に与えてもらった【一斉攻撃】のスキルを使って、ヤツらの家を蹂躙するのが今から楽しみでならないよ。

 モンスターハウスに置き去りにされるのが分かった時に見せたピートのあの顔。

 ダンジョンエスケープで僕とイライザが立ち去る時に見せたトラビスの顔。

 最高だったな。

 絶望の淵に立たされた時、人間ってあんな美しい表情をするものなんだね。

 もう一度あの表情を間近で見てみたい。

 そうそう。美女が見せる絶望はどんな色なのかも知りたいな。

 サンって言ったっけ。あの役立たずだったゴーレム。

 彼女にもさんざん絶望を味合わせよう。

 それから僕が救ってあげるのさ。

 そしたらたっぷり可愛がってあげてもいい。


「あははははっ!」


 やることは決まった。

 僕は同じ失敗は二度と繰り返さないのが信条。

 もしまたピートに負けるようなことがあれば、その時は僕は死ぬつもりだ。

 心配は無用だよ。僕は絶対に負けない。

 なにせこの世界の英雄になるべき男なのだからね。


 


 

お読みいただきありがとうございました。

これからも応援のほど、よろしくお願いいたします。

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