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第25話 決して見た目からとった名前ではない。決して。……ごめんなさい、ウソです

◇◇


「あははは!! みんなぶっ飛ばしちゃうよー!!」

「……一匹残らず始末する」


 カーリーとエアリスがモンスターハウスに入ってから、まだちょっとしか時間がたっていないのに、彼女たちの周囲にはモンスターたちの亡骸が小さな山のように積み上げられている。


「おいおい……。あいつらまじやべぇ……」

「近づかない方がいいって絶対に」

「うあああ! こっちくんな!」


 モンスターたちが怯むのも分かるよ。

 見た目は華奢な人間の女の子なのに、あらゆる攻撃を生身のまま防ぎ、狙った相手を一撃で仕留めるんだからな。

 もし助かっても今夜の夢に出てくるのは間違いない。

 もちろん悪夢として、だ。

 ご愁傷様です。

 さてと。モンスターハントは彼女たちに任せるとして、俺は俺でやるべきことをするか。

 ええっと……。

 あ、いたいた!

 怖がって部屋の端っこで震えてるじゃないか。


 ――ギュンッ!!


 目当てのモンスターとの距離を一気につめる。

 他のモンスターたちにしてみれば、「あ、風が通った」くらいにしか思えないだろうな。ピピから得たスピードはそれくらいに速い。


「ひっ! な、なんだおまえ!?」

「あ、あいつらの仲間か! や、やめてくれ! 俺たちを食ってもうまくないぞ!」


 うん、そんなこと見ただけで知ってるよ。

 だって今目の前にいるのは骨だけのモンスター……地獄の門番なのだから。


「安心してくれ。俺はあんたたちを倒しにきたわけじゃない」

「だったら何しにきたんだよ!」

「仲間にしにきた」

「はぁ? 仲間だぁ?」


 いや、唖然とするもの無理はない。

 いきなり敵から誘いを受けたら、誰でもそうだからね。


「何か裏があるに決まってる」

「ニンゲンはずるいヤツらばっかってじいちゃんが言ってたからな」

「断るべ」

「そうだな」


 そのひそひそ話、わざと聞こえるように言ってる?

 だが断られるのは想定内だ。

 俺は彼らが何か言う前に口を開いた。


「ここで断ればどうなるか……」


 ちらりと背後を振り返る。

 相変わらずカーリーとエアリスの二人が無数のモンスター相手に無双を続けていた。


「どうなるか、分かるよな?」


 地獄の門番たちがガクガクと震えだす。

 今の俺は完全に悪役だよな……。

 でも、まあ、そんなことを気にしてても仕方ないか。


「しかも仲間になってくれれば、君たちの好きな暗闇での生活を保証しよう」

「ほ、ほんとか!?」

「おいっ! ニンゲンに騙されるな!」

「そ、そうだったな。うるさい! ニンゲンめ! 黙らないとぶっ殺すぞ!」


 地獄の門番たちはいきり立っているものの、完全に腰が引けている。

 俺と戦うつもりはなさそうだ。

 だったらあと一押しだな。


「ジメジメしてて、夜の墓場みたいに静かで、周りに人間もいない場所なんだけどなぁ。まあ、君たちが嫌なら、別のモンスターを誘ってもいいんだけど?」

「のったぁぁぁ!!」

「ちょっ! 待てって!」

「いや、待たねえ。このまま何もせずに死ぬくらいなら、イチかバチかこのニンゲンに賭けてみてえ! おめえだって死にたくねえだろ!?」

「うっ……。そりゃ死にたくはねえが……」


 いや、あんたらもう死んでるからガイコツ姿なんじゃないのか?

 とツッコミたくなるのを必死にこらえながら、俺は彼らに正式なオファーを出した。


「じゃあ、俺と主従契約を結んでくれないかな?」


 ちょっとためらう地獄の門番たち。

 ……と、そこにエアリスの強烈なミドルキックをまともに受けたグリーンドラゴンが豪快に吹き飛ばされながら、横を通過していった。


「わ、分かった! 主従契約を結んでやらぁ! だ、だから命だけは!」

「お、俺も! 頼む! 主従契約でも何でもしてやっからよぉ!」


 最後の最後まで脅しに近かったが、結果オーライだな。


『主従契約シナリオの発動条件を満たしました』


 こうして2体の地獄の門番が仲間に加わった。

 ガイとコツって名前をつけてあげたら、すごく喜んでくれたよ。

 決して手抜きじゃないよ。何となくガイとコツって感じがしっくりきただけだよ。

 彼らには第54層のピピがいた場所で暮らしてもらうことにした。

 もちろん彼らの役割は『鎖の封印』を守ること。

 厳密には監視かな。

 モンスター・オートメーションで『もし鎖の封印に近づく人間があらわれたら、足止めする』というシナリオをセットしておいた。

 名付けて『鎖の封印を守るシナリオ』だ。

 シナリオの発生条件を満たせば、通知する声が俺の脳裏に響くからな。

 彼らが足止めしている間に駆けつけることができる。

 しかもモンスター・オートメーションはシナリオが発生しない限りはMPを消費しない仕様。

 つまりコストゼロで『鎖の封印』の監視が可能になったというわけだ。

 

「あんたは神か!?」

「ありがたやぁ」

「ニンゲンにもいいヤツっているんだべ」

「んだなぁ……」


 ガイとコツが俺を神様のようにあがめてきたけど、彼らにとっての神様ってやっぱり死神だよな?


 ――スキル【剣技(中級)】を覚えました!

 ――デスウィスパーの魔法を覚えました!

 ――アイスブレードの魔法を覚えました!


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名前;ピート・アイリス

レベル:104

HP:12560

MP:3210

腕力:244(+1190)

防御力:228(+1220)

魔力:456(+1630)

スピード:507(+1842)

スキル:

モンスター・オートメーション、モンスタートーク、ステータスオープン、ステータス同化、一定ダメージ以下物理無効、精神魔法無効、物理耐性Up(極大)、魔法耐性Up(極大)、会心率Up(極大)、素手攻撃力Up(極大)、ホワイトスパーク、超索敵、飛翔、人間に変化、デスウィスパー、アイスブレード、剣技(中級)

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お読みいただきありがとうございました。

これからもコツコツと更新していきます。

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