第22話 ついにサンが美少女に変化! 最高です……。
◇◇
ステータス同化のスキルは、モンスター・オートメーションと同じくらい優秀なスキルだと断言する。
サンとピピのステータスが合わさったことで、もはやそこらのモンスターでは相手にならないくらいの強さを手に入れた。
だがそれだけではない。
なんとテイマー自身のスキルやステータスの一部を使役しているモンスターと共有できるのだ。
といっても全部が全部共有できるわけではないみたいで、例えばモンスター・オートメーションをサンたちが使うことはできない。
万が一使えたら、それはそれで困るけどな。
あ、ホーリーフレアは使えるみたいだぞ。
効果は……まあ、お察しの通りだ。
そして今、俺はピピからいくつかスキルを共有してもらった。
その一部がサンたちにも共有されたのである――。
「もしかして君は……」
オレンジ色のさらさらした髪、くりっとした大きな瞳、透き通るような白い肌に、小さな唇――間違いない。夢の中で出会った少女。
「サン!!」
「ピートさん!!」
いや、ほんとに驚いたのなんのって。
ピピを草原に連れてきて、ご飯の支度を整えた後、サンをモンスターボックスから出したら、例の少女の姿で出てきたんだから、そりゃビックリするよ。
「ご主人様……。これは……」
「うああああ! やったぁ! 人間になれたぁ!」
「……これが私……」
ルナ、エアリス、カーリーもそれぞれ若い女性の姿で召喚された。
赤い髪で、メイド服が良く似合うルナ。
すらりと伸びた背に、青いロングヘアをなびかせるエアリス。
小柄でやせ型、いかにも活発そうな軽装で緑のショートヘアのカーリー。
いずれも整った綺麗な顔立ちをしている。
まさかここにきてゴーレムが4人の美女に変わるなんて……。
思わず見とれていると、サンが低い声でささやいてきた。
「……ピートさん、鼻の下が伸びてます」
「へっ? いや、そ、そんなことないから!」
「ピート、はなの下がのびるってどういう意味?」
キョトンとした顔で問いかけてくるピピ。
だが素直に答える必要はないよな。
「いや、特別な意味はないから気にするな。と、とにかく飯ができたぞ!」
「わーい! ごはん! ごはん!」
小躍りするピピに対して、サンたちが何か言いたげに視線を向けている。
まあ、言いたいことは何となく分かるよ。
ついさっき真っ黒こげにされたばかりだしな。
モンスターボックスの中で傷は癒えたみたいだけど、すぐに気を許せるわけはないよな。
「なあ、サン――」
そう言いかけた俺をサンが片手を上げて制した。
「ピートさん、私たちなら大丈夫です。一部始終をモンスターボックスの中から見てましたから」
「そ、そうか」
「それよりも、です」
4人が一斉に俺の方を見る。
女子に囲まれた経験なんて生まれてこのかた一度もないわけで……。
どこに視線をやったらいいか困る。
と、その時。
――クゥ……。
可愛らしい腹のなる音が聞こえてきたかと思うと、ルナの顔がみるみるうちに真っ赤に染まった。
「ご主人様……。ごめんなさい……」
これってもしかして……。
「ピートさん! これからは私たちも食べます! いえ、食べさせてください!!」
うむ。どうやらこれからは6人分の食料を調達することになりそうだな。
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