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名もなき雑草

転生して名もなき雑草になりました。正式名称はアランフィオレンティーナといいますが、誰も呼んでくれません

作者: 三香

 私は雑草である。

 どこにでも生えて、抜いても抜いても生えてくる、しぶとい雑草と呼ばれている。


 草として目覚めた時は、そりゃあ驚いたし、前世の意識があったから正直狂うかと思ったよ。手も足もないから、動けない。まさに植物状態、草だけに。誰とも会話できないことが、辛いことなのだと思いしらされたね。


 でも、私は強くてね。

 根っこが少しでも残っていれば、再生可能な強靭な生命力と、寒さ暑さもへっちゃらな環境適応能力があった。しかも、転生したためか草にあるまじき、異例の固有スキルをも持っていた。


 吸収、といってね、いろいろなものを少しずつだけど、自分のものにできるんだよ。


 私はね、長く、長く、生きたんだよ。

 そして、根っこを、のばしにのばしたんだよ。

 何百年、何千年、もしかすると何万年かも?もう時間なんて意味がないぐらいに。


 私の上で、魔王と勇者が戦ったこともあった。

 古竜の争いも、人間の大戦も、いろいろな戦が私の上でおこなわれ、その血や骸を吸収した。


 私は、大都市にも辺境にも、どこにでもいる。

 そう、大陸全土が私、一つのアランフィオレンティーナなのさ。誰も知らないけどね。

 大陸全土が、私の胃袋ってことを。


 あー

 あの子可愛いな。とっても美味そう。

 私ね、スキルがふえにふえて、一瞬で喰えるようになったんだ。ふりかえると、もういない、ってね。

 

 いただきます。うまーっ。やっぱり子供は柔らかくて、いいね。



 

 なァ、最近さ行方不明って多いよなァ。

 ああ、この間は王宮から王子が忽然と消えたって。

 こわいよなァ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 転生者が、可愛い子をパックンするに至った精神の変遷が気になる……途中何度も修羅場を潜っているのでその辺か、単に長い長ーい生による腐敗か…怖いですね。
[良い点]  おやランキング返り咲き。  三香さんの貴重なホラー物。  記念に感想を。  某国民的ロボットアニメの漫画で有名な安彦良和先生の漫画で朧げな記憶に残っている物が有ります。  もう四十年近…
[良い点] なんて、かわいらしいホラーw ホラーなのに牧歌的な香りがしますね。 昔みたSFアニメでそういう設定の星に不時着する話をみたのを思い出しました。
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