第四話「美人エルフの胸を」
「んー! いい景色。ちょっとここで休憩しようよ」
「わかったわ。それじゃあ、飲み物は紅茶とコーヒーに緑茶。どれが良いかしら?」
しばらく進んで、景色のいい場所に辿り着いた。
崖の上からこれから進むべき場所がよーく見える。周囲には、邪魔な障害物はなく、敵に狙われやすい場所でもあるが、まあこのメンバーなら大丈夫だろう。
言ってるそばから、ファナが【守護の結界】を展開した。目に見えないものなので、今の俺達は呑気に休憩しているようにしか見えないだろう。
「……」
「あっ、クルート。どこ行くの?」
一人で静かなところに移動しようと思ったが、清果に気づかれてしまう。
「トイレだよ」
「一人で大丈夫?」
「そこまで子供じゃねぇっての」
本当はなにもないが、一人になりたいんだ。
考えたいんだ。
俺は、変わった。それも今一緒に旅を続けているメンバーへの復讐心で。
けど、それもあっさりと阻止されて……。
俺は、どうしたいんだ?
前みたいに楽しく旅をする? それともこのまま抜け出して一人で。
「……なにやってるんだ?」
一人で考え事をしていると、俺の隣にリオが座る。
とはいえ、多少距離はある。
リオ自身も、恥ずかしいのか視線を合わせようとせず、本を開いた。
「その、少しでもクルートさんと仲直りが、したくて」
仲直り、ね。
パーティー内の仲だが、ファナが一番仲がいいだろう。認めたくはないがな。
その次に清果。
で、リオだ。リオとは、本当にそこまで喋ったことがないから、今と差ほど変わらない。
「……」
「……」
……静かだ。
なにか喋ってくるかと思ったけど、やっぱりリオはリオだったか。
チラチラとこっちを見てきては、本に視線を落とす。
それをただただ繰り返しているだけ。
頑張ってはいるようだけど、性格からして無理がありそうだな。
清果から聞いた話だと、リオは、故郷でもずっと本を読んでいて、他人と話すことなどほとんどなかったらしい。
しかし、魔法の才能は誰よりも優れていて、常に微精霊達が彼女の側にいるほど、精霊にも愛されているとか。
俺には精霊なんて見えないけど。
今も、リオの周りに居るんだろうな。
そんなリオが清果と共に世界を救う旅に出たのは、まだ見ぬ未知の本を手に入れるため。
「あ、あの!」
なんだ、やっときたか。
さてはて、ここまで間を空けて何を言い出すのか。
「ど、どうでしょうか!?」
ん? なんか柔らかい……あぁ、これ胸。
胸? え? なんで? なんで俺、リオの胸に顔を押し付けてるんだ?
「どうって、いきなり何をしてんだ?」
「え? あのえっと、男性が落ち込んでている時はこうするのが効果的だと本に……」
確かに、思春期な男の子だったら喜ぶところだけど。
「いきなりこういうのは勘違いされるから止めておいたほうがいいぞ」
「ご、誤解?」
「例えば」
ぐわっと両手を広げ。
「ひゃうっ!?」
リオの大きな胸を鷲掴みにする。
おぉ……なんて柔らかさ、なんという弾力。これが胸を掴んだ感触か。
「……」
「……抵抗しないのか?」
普通なら抵抗するところを、リオはなにもしない。俺がひたすら胸を揉んでいるのを堪えている。
「こ、これで少しでも罪滅ぼしにぃ……! なる、なら……!」
ほほう? これはチャンスか。
チャンスだな。
……けっけっけっけ! 前々からリオの胸を好き勝手にしたかったんだよ。メンバーの中では一番大きいしエロかったからなぁ。
今の俺にそんなことを言うなんて。
「お望み通り! 好き勝手に揉んでやるぜぇ!!」
まずは、左から? いや、右か? いいや違うな。両方とも存分に揉んでやるかぁ!
その後は、弱みにつけ込んで……ぐへへ。
「止めなさい!!」
「ぐぼっ!?」
あれ? なんかこんなこと数時間前にもあったような……。
「あわわ!? く、クルートさん! 大丈夫ですか!?」
「危なかったわね、リオ。もうちょっとでこの変態に犯されるところだったわ」
「ま、待て! 俺はリオ本人の了承を得て胸を揉んでいただけだ!」
今回は気絶せずに済んだが、右頬がいてぇ。
「確かに、それは事実なんでしょうね。けど、聖女である私には、わかるわ。リオの弱みにつけこんでもっといやらしいことをしよう目論んでいたことを!!」
まさかこいつ、俺が思考を読んだっていうのか?
なんて奴だ。
「は、ははは。まさかそんなことするわけ、ないだろ?」
「あら? そうなの? ほんとーに?」
だからその笑顔(威圧)は止めてくれ。
「あ、ああ本当だとも。さあ、そろそろ行こうぜ? 休憩は終わりだ!」
こうして、俺のエルフおっぱい揉み揉みタイムは呆気なく終わったのであった。
というか、この先もこのパターンが続くんじゃないだろうな?
ファナの奴……本当に俺への罪悪感があるんだろうな。