異世界勇者は関わらない
よろしくお願いいたします!
辺りを見回し、まだ生きているモンスターがいないか確認する。
いないみたいだ。
改めて人間たちの様子を確認する。
ふむ。
先ほどから俺の勘も言っているんだが、相当良い家の関係の集団らしい。
装備がものすごい高そうだ。無駄に。
……。
何かめんどくさそうだな。
引き返すか。
「んじゃっ!」
俺は手をシュバッと出し、別れの言葉を伝える。
あ、街がないかどうかでも聞いとけば良かったか。
わりと近くにあるらしい。
なら良いや。
しかし、向こうは良くなかったみたいで。
「ま、待ていっ!」
引き止めてきたが、待つ必要性を感じなかったため振り返ることなく歩き続ける。
「ま、待ていっ!」
同じ言葉で引き止めてきたが、以下同文。
「ちょっ、無視しないでよ!」
そう言えば、女もいるみたいだな珍しい。
男装の麗人って奴か、カッコいいな。
「お、おいっ。隊長が無視されてるぞ」
「ああ。さすが隊長。男運が悪い」
こそこそとそんな声が聞こえてきた。
案外、君たち余裕だね。
仲間が死んでいるっていうのに。
あとどうでもいいが、俺のところまで聞こえてくるっていうことは、隊長さんにも聞こえていると思うぞ。
「お、おいお前ら!私の男運の悪さは今は関係ないだろう?!」
案の定、怒られる部下Aと部下B。
「あと、君!お願いだから、無視しないでよぉ!」
ちょっと涙声になっているな、遂には。
スタスタスタ。
「えっ?!これでも無視し続けるの!?何、どうすればいいの?私どうすればいいの?」
お前らも帰れ!
家に。
結局、そのまま振り返ることなく、俺は勘に従い街の方へ歩き続けた。
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