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異世界勇者は見られてた
よろしくお願いいたします!
「驚きましたね、こちらに気付くとは」
私は思わず身震いしていた。
女神である私をそうさせるほどの何かを彼は持っていたと。
そう言うことだ、認めたくはないが。
テキトーにあらぬ方向を見ていた先に私がいたというのなら、何の変哲もないただの話だと片付けられたが。
私がいるのは、彼らが住む世界とはまるで次元が違う。
千里眼水晶を通して見ていたのだ。
それに向かって明らかに意識した視線でこちらを睨んでいた。
水晶ではなく、その先の私の目を睨んでいた。
ただの人間にそんなことが出来るのか。
「いえ、そうではないですね」
ただの人間だったら、殺してこちらに連れてくる価値なんてない。
選別で選ばれた人間なのだから、ただの人間だったら困る。
「彼女と言い、今回は期待出来そうですね」
女神は、嬉しそうに微笑む。
その豊かな胸に一抹の不安を抱えながら。
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