異世界勇者は対処する
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「ロングリー様、伏せてください」
これで四回目だ。
街中にも関わらず馬車に襲撃があったのは。
どうやら相手もなりふり構っていられなくなったらしい。
街中で堂々と、明らかに貴族が乗っているように見える馬車を狙ってくるとは。
しかも、何気に中々の手練れだ。
街の住人に紛れて、馬車の窓の隙間から見えるロングリー様を、最小限の魔法で狙おうとしてくるため、余り騒ぎにならない。
まあ、俺の勘が全部知らせてくれるため、全く問題はなかったが。
相手に魔法を打たせる前に、勘の赴くまま襲撃者を処理していく。
まあ、処理と言っても殺しているわけではない。
ただ、圧縮を敵の足の指やら手の指やらに使っているだけだ。
どうやらこの魔法は、直接相手を視界に入れてなくとも範囲を指定すれば発動するものらしい。
勘に従って範囲を指定し魔法を使えば、襲撃者は突然の痛みで倒れていくっていう寸法だ。
そういう意味では少しの騒ぎになっている。
何せいきなり人が倒れるわけである。
これで間違ってたらどうしようと内心ヒヤヒヤはしているが、その時はその時だ。
逃げよう。
「先ほどからいかがなさったのですか?」
ロングリー様には何も説明していない。
勘で襲撃者が襲ってくるのが分かるから、念のため伏せるよう指示しているなんて、とてもではないが信じてもらえるような話ではない。
そもそも、俺も信じられない。
それでも、ロングリー様は律儀に頭を下げてくれるが。
一応の信頼は得ているらしい。
自分で言うのもなんだが、こんな胡散臭い男、俺だったらシカトしていることだろう。
ロングリー様を敢えて窓から見えるように配置させているのは、馬車ごと狙うような大きな魔法を使わせないためだ。
っていうか、ロングリー様自ら、そこに座った。
まあ、馬車ごと狙われても問題はないだろうが、可能性は少しでも減らしておきたい。
周りにも被害が出るかもしれないしな。
これでも色々考えているのだ。
全部、勘に従うだけだが。
む、勘が少し強めに騒いだ。
どうやら襲撃者は馬車ごと狙うよう決めたみたいだ。
「キャーーー」
悲鳴が聞こえる。
窓から外を見ると、デカイ火の玉が馬車に向かって飛んできていた。
危ないな。
俺は両手を広げた。
その方が強い魔法を使えそうな気がしたからだ。
「圧死!!」
恥ずかしいが呪文も一つ。
両の手をパンと勢いよく鳴らす。
火の玉は見る間に縮み、消えてなくなった。
んで、勘の赴くまま圧縮と。
デカイ火の玉を使った襲撃者の片手を潰す。
んー、今のが襲撃者たちの最後の切り札だったらしい。
意外と呆気ない。
「カジマ殿、あなたはいったい……」
シェーリーは俺の魔法を見て驚いていた。
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