異世界勇者はイタズラする
よろしくお願いいたします!
どうやら城壁の外に手洗い場みたいな場所があるらしく、そこへ女騎士と一緒に行くことになった。
そこは人っ子一人いなく、物寂しい雰囲気に包まれていた。
まあ基本、ここに着いたら急いで街の中へ入って身体を綺麗にするんだろうな。
出入り口から地味に離れているし。
「それで女騎士様はこんな人気のない場所に俺を連れ込んで何をするつもりなんだ?」
冗談混じりでそんなことを言ってみた。
手を洗っていた女騎士はピクリと動きを止める。
そして、真っ赤になった顔でこちらを振り返った。
「んなななっ、何を言っているんだ?!」
「何、だなんて。分かってるくせに」
俺が嫌らしい顔でニタリと笑う。
その目線は女騎士の身体をなめ回すようにする。
それに気付いたのか、自らの身体を隠すように押し抱く女騎士。
俺って演技派だよな。
しかし、恥ずかしそうにしていた女騎士が何かに気付いたようにハッと顔を上げ、俺の顔を見る。
その顔は何かを覚悟したかのような力強い美しさがあった。
鼻水をとっとと洗え!
「あ、あなたは……」
まだ身体を隠して、しかしその顔は俺の目を力強く見据えながら、話し掛けてくる。
「私とそ、そ、そういうことをしたい……というわけなのか?」
「まあ、したいかしたくないかで言えばな」
前の世界、いやもはや前世と言えばいいのか。
一人を除いて、女の子とは全く縁のない生活をしていたからな。
「そ、そうか……」
女騎士は一つ頷きを入れると、いよいよ何かの覚悟を決めたのか、押し抱いていた腕を避けた。
顔は赤いままだったが。
「な、なら……私たちに、協力してくれるなら……貧相なこの身体、好きに、してもらっても……かまわない……」
なんてことを言い出した。
おい俺の勘よ。
お前の言う通り、冗談半分であんなことを言ったら大変なことになったぞ。
どうしてくれる。
「貧相な身体、ねえ……」
ざっと見た感じだととてもではないが、そう思えなかった。
騎士なんてやってるくらいだから身体が筋肉で固いのかと思っていたら、さっき抱きつかれた時は全くそんなことなかったし。
発育だって相当なもんだぞ。
出るところは出て引っ込むところは引っ込む、世の女性が見たら九割がた嫉妬しそうなスタイルに見える。
嫉妬しない一割は、自信過剰なやつだろう。
少なくても前世だったら、ダントツでトップのグラビアアイドルにでもなれそうな感じだ。
しかも、顔は彫りが深いのになぜか日本人に近く見えるという不思議な美形だ。
しかし、俺の呟きを女騎士はそうとは捉えなかったみたいで。
「む、むむむ。やっぱり……ダメ……か?」
おい、いい加減、鼻水洗え!
女騎士がそんなことやって、良い意味でギャップがものすごいあるのに、台無しなんだよ!
「取りあえず話を聞くことは決めたんだ。話はそれからだ」
あと顔洗え。
「む、むう。分かった」
女騎士はそう言うと、自らの主がいる方向へ歩き出した。
「おい、顔洗え!」
「あっ。そうだった」
やっぱり抜けてるな。
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