異世界勇者は走馬灯を見る
よろしくお願いいたします!
俺は昔から勘が良かった。
学校のテストなんて勉強しなくても、ヤマ勘を張って出る問題を予測して、いつも満点を取っていた。
まあ、友達がいなかったから自慢する相手もいなかったが、至極どうでも良い。
教師が不正を疑って、クラスメイトがいる目の前で、俺のことを糾弾したこともあったが、そいつが不倫していることを知っていた俺は、依頼されて取っていた写真を、全部ぶちまけてやった。
なんと、クラスメイトの母親と不倫していたのだ、やつは。
俺のことを糾弾する場合ではなくなり、写真を回収して慌てて教室を出ていった。
データで持っていたから意味がなかったんだけどな。
教師の不倫相手の娘、いつも俺を口汚く罵ってくる女は、恥ずかしそうに目を伏せていた。
そのうっぷんを晴らすためか、自習時間が終わった後の休み時間で、俺に詰め寄ってきたな。
写真を見せたら大人しくなったが。
もう、めんどくさくなり、他にも俺を目の敵にしていた奴らの恥ずかしいエピソードやら何やらを、さりげなく教室中にばらまいてやった。
あの時は最高におもしろかった。
親友だと思っていたやつが、自分の彼女と浮気していることを知った時のクラス一イケメンの間抜け面。
清楚で通っていながら俺を裏では罵倒するクラス一清楚が、小汚ないおっさんと歩いている写真をそいつの机の中に入れて、それに気付いた時の醜い面。
人間の本性ってのは簡単に出るもんだと、あの時は勉強させてもらった。
宝くじを買えば、三等、二等は当たり前に当たる。
一等は一回しか当たらなかったが、あれは明らかに当たりが絞られていた。
俺が住む地域では、あの一個しかなかったのだ。
俺が金を持ったと知った時の親戚面する奴らが、まあ来るのなんの。
どこから嗅ぎ付けてくるんだ。
俺の勘より良いもん持ってんじゃないかと思ったほどだ。
まあ結局、勘で逃げ回ったけど。
おかげで一等が当たった後しばらくは良い暮らしをさせてもらった。
あの時に食べた高級牛うまかったなあ。
こうして考えていると、何だか走馬灯のように自分でも思ったが真実。
勘の良い俺だから分かるが、俺は死ぬ。
この世で唯一と言っていいほど、大切に思っている女の子を庇って。
間近に迫っているトラックから。
柄でもない、俺が人を庇って死ぬなんて。
ただあの子を死なせたくない、強くそう思ってしまった。
俺の勘を使って、俺と彼女が死なない方法がないか考えたが、どうやっても俺か彼女のどちらかが死ぬと。
俺の勘が強く言っていた。
こんな時まで俺の勘が仕事しなくてもいいんだがな。
だったら俺が死ぬしかないと、ああお前の望む通りに動いてやるよと、この状況を仕組んだのであろう奴がいる方向を睨む。
もちろん、そんな奴がいるってのも俺の勘だが。
勘だが、庇った彼女は何とか助かりそうだ。
願わくば、幸せな人生を送ってほしいもんだが。
ただ、彼女の先を考えるのは止めた方が良さそうだ。
なぜなら彼女もーーーーー。
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その日、世界中で同時多発的に人が死ぬ事態が発生した。
それはいつものことだと、世界の人々は流していたが。
そうではなかったと彼らが気付くのは、まだまだ先の話だ。
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