決着
ロダンは戦いながら城の中の様子が気になって中へ入ろうとした。
すると背の高い影が現れて言った。
「君が生きていると若い衆に希望を与えてしまうではないか。」
影はフシビ卿だった。フシビ卿は城に入れまいと立ちはだかった。
「何故、希望を与えてはいけないんだ?」
ロダンは目線をフシビ卿から外さずに言うと公爵から預かった剣を抜いて構えた。
フシビ卿は不敵に笑うと後ろに隠し持っていた刀を振りかざして言った。
「調子に乗るだろう?」
途端に激しい刃物の擦れ合う音が響いた。
フシビ卿は刀で競合いながら容赦無く言った。
「仮面男め..息の根を止めてやる。」
「それはこっちの台詞だ」
ロダンも言い返した。
二人とも互角に戦った。
またしても剣と刀が激しくぶつかり合った時競合いながらフシビ卿は足で思い切りロダンの腹を蹴った。
ロダンは昨夜城の前で縛られたままフシビ卿に思い切り蹴られたところが急所だった。
腹を抱えて倒れたロダンにフシビ卿は刀を振りかざして言った。
「これで終わりだ。」
「待て。」
公爵が急いで間に入った。
「その者を逮捕する。」
フシビ卿は敬礼して公爵に向き合った。
城から兵士が飛んできてロダンは捕まった。
ロダンを捕らえながら安全なところへ運ぶと公爵は城の中でロダンを手当てした。
急いで手当てしながら公爵は言った。
「傷は大丈夫か?ロダン。君には悪いがフシビ卿には今は手出しできない。後でじっくり痛い目に合わすさ。」
公爵はロダンに片目を瞑って合図した。
すると部屋に誰かが入ってきた。
見覚えのある女の子だった。
近くへ来るとロダンは誰かすぐにわかった。
「ロダン、久しぶりね。」
女の子はロダンが助けたセレナ姫だった。
セレナ姫はたくさん食べるものと飲むものを運んで来た。
「お腹が空いてるでしょう?これを食べてね。」
ロダンは傷の様子を見ながらお腹を満たした。
城の外の争いはあらかた国の兵士と街の人々の協力で敵国を抑えることができたようだ。
しばらくすると公爵はロダンに言った。
「長旅ご苦労だった。まだ城の落ち着きはないが悪人たちを捕らえることができた。
王妃も無事、意識が戻ったようだ。
全部君のおかげだ。」
公爵はロダンの手を力強く握った。
セレナ姫もお礼を言ってロダンに優しく抱擁した。
「ありがとう、ロダン。
あなたを国の特例大使に任命します。」




