29/40
地下牢
公爵はロダンが出航した後一人で城の地下に来た。
城の地下に捕らえられた囚人は二度と陽の光を浴びることはできないと言われていた。
今日も一人の囚人が拷問を受けている最中だ。
囚人はもうじき命を落とすだろう。
暗い地下に悲鳴が響き渡った。
しばらくすると暗い地下道から一人の魔女が現れた。
魔女はここで死刑執行人を任されていた。
公爵の姿を見ると魔女は言った。
「久々だね。また何人か捕らえたのかい?」
魔女の姿は口元しか見えない黒のマントで顔を隠していた。
シワがれた不気味な声だった。
公爵は後ろの壁にかかっているたいまつの炎の明かりを背に受けて暗い影のまま魔女と話しをした。
「今度一人、囚人が来ることになりそうなのでその時はよろしく頼むよ。」
魔女は口元を緩ませてすぐに応えた。
「ロダンのことだろう?」
魔女の不気味な笑い声が地下中に響き渡り、
公爵は何も応えずにその場を後にした。




