計画
城に移された新しい住まいの部屋の窓から曇り空の下に広がる街を見下ろしてロダンは考えていた。
隊長が遠方に出向いている間公爵の命令だけ聞いていればよくなったので時間が余っていた。
このところずっと雨ばかり降っている。
街の人は降り続く雨にたいそう参っているようだった。ロダンは今まで暮らしていた城下町を思い出しアパートの管理人のおばさんは元気かと思った。また気晴らしに一人で湖にも行きたかった。
気がつけばずいぶん身なりも立派になっていた。そして前よりも物に囲まれ豊かになった。
しかし何も無くて飾らない生活も気に入っていたのだ..。
広く綺麗な家具の揃った部屋を見渡してロダンはそう思った。
と、そこへ開いていた部屋のドアから公爵が入って来た。
公爵はロダンの隣に来ると同じように街を見下ろして言った。
「..見ろ、ロダン。あの変った色の傘は我が国と関わりの深い隣国の使いの者たちを表している。
もうここまで来ているとは。」
公爵はダイヤのネックレスを胸ポケットから取り出しそれを眺めながら言った。
「あと少しで私の計画も完了する。
..仮面男は少しの間封印だ。
今度は君にある荷物を運んで欲しい。」




