表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
身分を超えた冒険  作者: momonga
19/40

城の伝統

ファルボ卿は若き公爵に向かって突然言った。

「この城をなんと心得ている」


公爵はいきなり後ろから現れたファルボ卿に振り返り一礼した。

「いらしたとは。」


ファルボ卿は上を仰いで代々続く城の皇族の肖像画を眺めながら言った。

「いよいよこの中の仲間入りだな。時が経つのは早いものだ」


2人がしばらく長い廊下を歩いているとファルボ卿が一枚の肖像画の前で立ち止まり公爵に言った。


肖像画の人物は公爵にそっくりだった。

「早くに亡くなった父上様に恥ぬよう勤めを果たしさない。私の言いたいことがわかっているね?」


公爵は何食わぬ顔で応えた。

「もちろんです。」


ファルボ卿は機嫌をよくして言った。

「お前の結婚式に呼べないのが残念だ」


公爵はファルボ卿の側へ来ると努めて明るく言った。

「父上は遠いところへは行ってはいないですよ。ずっとこちらにいてこの城と新しい行く末を見守っていますとも」


ファルボ卿は公爵の背に腕を伸ばすと言った。

「..だいぶこの肖像画に似て来たな。」


公爵は言った。

「ありがとうございます。あなた様のおかげです。」


ファルボ卿は益々機嫌よくした。

「この肖像画を越えて見せよ。それが兼ねてからの私の夢だ」


公爵は微笑んだ。


ファルボ卿は熱く語った。

「お前ならできる。」


公爵は頭を下げたままファルボ卿が立ち去るのを見届けるとゆっくりと自問した。


この城をなんと心得ている..か。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ