決意
城が夕陽に染まりだした頃ロダンは一人で公爵の部屋に向かった。公爵から話しがあると他の家来から伝達が入ったのだ。
一緒に城へ来た隊長と先輩などは先に帰ってしまった。
焦ったところで仕方がない、まずは公爵からいろいろと確かめるんだ。ロダンは決意した。
公爵はロダンが来ると部屋にいた小間使い達に部屋から出るよう言いつけた。
小間使い達が部屋から出て行くと公爵は外に誰もいなくなったのを確認し扉を閉めてからゆっくりとロダンに話し始めた。
「..君には驚くことばかりだ。よく犯人がこの私だと突き止めたな。おかげで他の数人に私の秘密にしていることがバレてしまいそうだ。
この不始末どう責任取ってもらおうか」
後ろに腕を組み敬礼しているロダンの表情は青ざめていた。
そんな彼の隙を探りながら公爵は言った。
「お互い秘密がある者同士、これからは仲良くやろうではないか。」
ロダンは気持ちを悟られないように下を向いていた。しかし公爵には全て見透かされているような気になって仕方がなかった。
黙ったままのロダンに公爵は言った。
「賢明だな」
公爵はロダンのそばを歩きながら言った。
「よくも君のような低い身分の者が城に入り込んでくれた。
それも敵同士とは黙っていられないだろう」
ロダンはうつむいたまま目を閉じた。たちまち焦りが増した。
やはり公爵は全て知っている..。
「このまま君を見過ごすことはできないのだよ。」
公爵は冷静に話しを進めた。
「しかし良いことに、これを知ってる者は私と君以外にないのだ。」
ロダンは公爵を目で追いながら話しの続きを待った。すると公爵は言った
「私の指示に従うんだ。
そうすれば黙っていてやろう。」
ロダンは公爵に秘密を握られ不安になった。
公爵はそんなロダンにさらに追い討ちをかけるように小声で言った。
「もしもバレたら城の者たちにどうされるか知れないぞ?知ってて君は城の中に入ってしまったんだ
それに隊長も同じ罪に問われるだろう..。」
ロダンは公爵が自分に何をさせたいつもりなのか測ろうとした..しかし今は焦りで考えがまとまらなかった。
公爵は声の大きさをもとに戻すとロダンに言った。
「さぁ、私に従うかどうするか応えを聞かせてもらおうか」
不安になりながらもロダンの頭の中では公爵がなぜ自分の秘密を知っているのか、これからどうするつもりなのか疑問だらけだった。
それを突き止める覚悟はあった。
ロダンは焦りながらも確かめたい気持ちで応えた。
「..仰せのままに致します。」
その応えに公爵は満足気に言った。
「いいだろう。では明日、昼間の君の仕事が終わった後またここへ来たまえ。」




