秘密
後は隊長にどうやって信じてもらえるかロダンは必死に考えた。
公爵が犯人だということは、張っていればすぐにわかるはずだとロダンは余裕に思った。
ところがまたすぐロダンは公爵に部屋へ呼ばれたのでロダンだけでは心配だと思った隊長が先輩の護衛兵を一人ついて行かせた。
相変わらず右腕をかばいながら公爵は言った。
「何度も呼んで悪いな。少し頼みがあるんだ」
「はい。何でしょうか?」
先輩はひざまづいて訪ねた。
「仮面男について聞きたいことがあるのだが、どちらか応えてくれないか?」
先輩は、何だろ?と思いながらロダンの顔を見ると公爵に視線を戻して応えた
「はい。わかることでしたら」
「仮面男はよくどこに現れるのかね?」
公爵は何食わぬ顔をして本棚から本を探しながら質問した。
「屋根の上です。」
すかさずロダンが応えた。
公爵は動きを止めずに話をした。
「そうか、わかった。」
今度はロダンが膝まづいたまま公爵に質問した。
「..何故、先ほどから右腕をかばっているのですか?」
公爵は一瞬だけ動きを止めた。そして何事もなかったようにロダンの方を向くと笑顔で言った。
「ちょっと怪我をしてね。」
少し間をとって公爵は急に話題を変えた。
「そうだ、シュツェツプ君。君はアルザス地方へは行ったことがあるかい?」
先輩は考えてから、無いです。とだけ応えた
「アルザス地方にはとても有名な滝があるんだ。」
公爵はロダンには決して話題を振らないように話しを続けた。
「そうか、知らないか。ガルバトンという部族がいるんだがこれも知らないだろう。
もしもその部族の出だとしたら大変だからね。」
先輩は冗談と受け取り笑顔で返した。
「そんなはずはありませんよ。ガルバトンはとっくに滅ぼされたのですから」
公爵はロダンの表情をそれとなく伺った。
ロダンは先ほどとは違い言葉を失っていた。




