戦場
ここは地球とよく似た星で時は戦乱の時代。この物語は後に日本語でわかるように訳されました。
1 戦場
砂漠の真ん中で正午の日の光が負傷した兵士達の真上に降り注いだ。
ロダンは若者部隊の一員として攻め込みようやく決着が着いた頃だった。
砂煙があちこちで上がっている。
ロダンの隣にいるサムは敵に刺されて重症だった。もうじき彼は亡くなってしまうだろう。
「ロダン、頼みがあるんだが..」
サムは苦しそうに息をしている。
「これを国に帰ったら妻に渡してくれないか」
サムはロダンに残りの銀貨と家族の写真を一枚渡して息を引き取った。
写真には結婚したばかりのサムと奥さんが子供を抱いて一緒に写っていた。
サム!
ロダンが叫んでも返事はなかった。
敵がすぐに戻って来たのでロダンは急いで預かった物をポケットにしまった。
「おい、まだここに捕虜が残ってたぞ。」
ロダンの近くに敵が数人集まって来た。
ロダンは両手を上げて降参した。
「まだ動けそうだな?」
「よし、捕虜として国に連れて行け。武器を持ってないかよく調べろ」
ロダンは敵の下っ端に何を持っているかチェックされ、持っていたサムの形見を取り上げられてしまった。
歩くすがら下っ端にロダンはこっそり頼んだ。
「銀貨はくれてやる、けど写真は預かったものなんだ。」
下っ端はロダンに返すと見せて自分の胸ポケットに写真をしまった。
「悔しかったら取ってみな。」
ロダンたちの若い部隊は敵に攻め込まれて散れ散れになった。そしてほとんどは戦死したか捕虜になった。
ロダンは上着の防弾着を脱がされYシャツ一枚にされた。そして重たい荷物をかつがされると敵に見張られながら何キロも歩かされた。
まわりはずっと砂漠が続いている。
途中、休憩に入り敵が動きを止めるとロダンは荷物を下に置いてその場に倒れた。
敵が見に来て銃の先でロダンの意識を確かめた。
「..おい。水をやれ」
下っ端がやってきて少し水をロダンの顔にかけて起こした。
「脱水しやがったか。」
ロダンはもらった水を勢いよく飲んだ。視界はまだ歪んで見える。
急に近くの崖の下で大きな爆発があり巻き込まれた敵の一人が負傷した。
丘に隠れてわからなかったがすぐ近くで他の軍勢の戦いが始まっていた。
その時、突然近くに爆弾が落ちた。辺りに砂が舞ってしばらく息が出来ない。
気がつくとたまたま地面に近かったロダンと痩せた捕虜が助かった。痩せた捕虜は一目散に安全なところに逃げてしまった。
急いで地面にふせながらロダンは目をこすって砂を払った。またいつ襲撃されるかわからない。辺りに砂煙が舞い上がった。
ロダンは横に移動して様子を確かめた。数メートル先にいる敵に向かって声をかけると無残に倒れてしまった。すでに亡くなっている。
その近くにいた下っ端も流れ弾に当たって生き絶えたようだ。下っ端から防弾着と写真、そして残りの銀貨を取り返した。
急いで上着を着ると地面にふせながら下の様子を見に崖に近づいた。また近くでものすごい爆発がして砂が舞った。
下は戦場となり大群対大群の争いになっていた。
よく見るとロダン側の軍対敵軍が争う最中にでくわしたようだ。今度は若い軍ではなく上流軍の争いだった。