学校で・・・2
精気を吸われたランスは何とかベットまでたどり着いたが、約束をすっかり忘れてしまっていた。
「いつまで経っても来ないから捜してみれば、なんでお前は保健室でのんきに寝てんだよ。」
「いや悪い、ユウヤ。ちょっと精気吸われて・・・。」
親友はそれで理解したのか少し怒った顔をする。
「お前、だからいっただろ。サキュバスなんか助けるなって。」
「悪かったって。でも目の前で傷つけられてれば助けるだろ?」
「まぁお前がいいならいいが、で今話せるか?」
「先生は今会議だから大丈夫だ。あ、でも鍵は閉めていた方がいい。」
ユウヤは一度保健室のドアの鍵を閉めてから僕の寝ているベットに腰掛ける。
「昨日、カミに偶然会って話したんだ。」
・・・やっぱりカミか。
「お前、受験の方大丈夫か。もし、夜の活動が負担なら受験終わるまで一旦休止でもいいが・・・。」
夜の活動。それはちょうど半年ほど前から始めた軽犯罪みたいなものだ。例えば、奴隷商館にこっそりと忍び込み奴隷たちが閉じ込められている部屋の鍵をそっと開けて逃がしたり、悪徳貴族の屋敷にこっそり入り、金をばれない程度盗みお金に困っている施設にあげたりする活動だ。最近では夜の路地裏で襲われていたサキュバスの娘を助けたりもした。軽犯罪と言っても人助けのためなのであまり罪の意識はないが、もちろんバレたら、牢獄行き決定だ。
「大丈夫。実技は確実に受かるし、筆記試験も十分間に合う・・・。たぶん・・・。」
「ランス、マジで頼むぞ。お前のいない高校なんて何も楽しくないからな。」
「・・・ユウヤ、お前!」
「ランス!」
二人は熱い抱擁を交わす。そして、夕陽に照らされながら・・・。
「あんたたち、なにホモホモしてんの。あと、夕陽なんて出てないわよ。」
突然、ドア付近から声が聞こえた。閉めたはずなのに黒髪の長いすらっとした少女が立っていた。掛けている眼鏡から覗く緑色の目が呆れたように二人を見てくる。
「ユハちゃん。」
「ユハ?!」
ユハはユウヤの彼女であり、お目付役だ。制服を着ていても分かる女性の部分。しかし、体型とは逆にどうすれば、そんなに運動できるんだ?というほどの運動神経の持ち主。頭もよく、人当たりもいい。
ユウヤとは幼なじみらしくそこから彼女に発展したのだとか。
魔法も得意らしく、どうやら僕たちが気づかないうちに解錠の呪文でドアをあけたらしい。
・・・ユウヤ、どうしてこんないい彼女を・・・。
まぁそんな彼女も僕たちには大きな欠点を見せる。
「ユハちゃん、残念だが僕とユウヤの愛は止められないよ!なぁユウヤ。」
「そうだ、悪いなユハ。俺とランスはいわば運命共同体なんだ!」
ユハは少し笑って、
「へぇ~そうなんだ。じゃあユウヤ、別れましょ。さすがにホモは無理、愛し合えないわ。」
そうして、何の未練もなさそうにあっさりと、回れ右をして帰ろうとする。
「悪かった、悪かったって。ユウヤとユハちゃんお似合いだよ。今までのは冗談だって。」
「そうだって、俺はユハ一筋。なんならそれをここで証明するからさ。」
二人は必死に謝る。対してユハは、ばれないように笑いを堪えながら、
「ランス、私がホモとお似合いっていった。止めてよ、そんな冗談。それと・・・ユウヤあなたは少し黙ってくれない。」
それを聞いて、ユウヤは絶望的な顔をしてうるうるしだす。
というか、若干泣いている気が・・・。
「・・・うふ、うふっふふふふふ。あはははは・・・はぁはぁ。」
その顔を見てユハは堪え切れずに笑い出す。あまりの勢いにおなかがつらそうだ。
「・・・・・・はぁはぁ冗談よ。からかっただけ。」
そういって、ユウヤに抱きつき顔を優しく撫でる。
うわ~飴と鞭がよく分かってらっしゃる。
「そういえばユウヤ、私が好きだと証明するって言ったわよね。」
「え?・・・あぁ。」
ユハはちらりとランスを見て意地悪く笑い、
「キスして。」
「はぁ?ここで!?」
「だって、ランスのいやがる顔が見たいもの。」
「いや、俺も親友の前でするのいやなんだけど。」
それを聞いたユハは少し頬を膨らませて、
「もう、ランスと私どっちの味方なの?」
「そりゃ、ランスだろ。それは譲れない。」
「即答!あんたねぇ・・・まぁそういうところが好きなんだけど。でも、あんたたちの友情には嫉妬しちゃう。・・・えいっ。」
ユハはランスに見せつけるようにユウヤと長いキスをする。
こいつ、酷すぎるだろ。
ランスは二人の愛を見せつけられ(無理矢理だが・・・)自分のヒットポイントが失っていくのを感じる。やがって、キスが終わると、
「その顔が見たかったのよ。」
・・・死亡・・・。
そう、ユハの唯一にして最大の欠点・・・それはドSであることだった。
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