北条浩一・シリーズ
トトの過去作品(あらすじ紹介)第五弾です。
北条は“ほうじょう”ではなく“ほくじょう”と読みます。
原作はトトと友人、漫画はトトという合作漫画でした。
北条浩一はトトが描いていた或る漫画の主人公ですが、その友人が凄くそのキャラを気に入ってくれていて(浩一くんファンクラブなるものの会長をしてて)或る日……
「浩一くんの夢を見た! 浩一くん、夢の中では探偵だったよ」
という言葉からシリーズがスタート致しました。
その友人の夢はまるでアニメを観ているように鮮明で、タイトルからOP、ED、予告。
その話が一話完結ではない場合は前編完、後編に続く――次回をお楽しみに等の字幕までも出るそうで、私はその友人の夢を一緒に見てみたいと何度も思ったものでした。
主人公の浩一は高校生探偵という設定ですが、その頃は未だ『名探偵○ナン』も『金田○少年の事件簿』も連載されてない頃なので、それをパクった訳ではありません(←歳がもろバレ!)
どちらかと言うと、江戸○乱歩の小説に登場する『小○少年と少年探偵団』の影響が大だったのではないかと思います。
《イラストは過去絵に手を加えたものです》
『北条浩一・シリーズ』全50話
高校生探偵の北条浩一が相棒の立花ミカと数々の難事件を解決していく物語
ただ、この2人……とってもイイ性格でお金に汚い!
この世は銭〜的な金の亡者なのです!!
☆キャラクター紹介
【北条浩一】17歳
高校生探偵
父親は世界的な名探偵なので、北条探偵事務所は留守が多い
叔母の静香が留守を預かっているが、父への依頼を「助手です」と偽って受けては報酬を要求していた
しかも交渉で報酬を吊り上げる←この場合は高校生探偵とは名乗らない
一応、容姿端麗、頭脳明晰(性格に難あり)
【立花ミカ】17歳
高校生探偵
容姿端麗、頭脳明晰、しかも大金持ちの令嬢(一番お金を持ってるのは祖母)
祖父は警視総監、父は検事
でも何故か浩一と同じく金の亡者
【立花 健】19歳
ミカの兄、実は血の繋がりはない(立花家の養子、旧姓は一条)
ミカに惚れている
【一条園子】
故人(幼い頃に死亡、死因は不明)
浩一の許嫁だった
実は、健と園子は血の繋がった兄妹
※『北条浩一・シリーズ』は基本的に(例外も幾つかありますが)1話完結です。
1話毎に起こる事件も違います。
けれど、話数が後半以降になると、世界的な名探偵だった浩一の父が何者かに殺害され、浩一はミカと共に、父が追っていた事件と父を殺した犯人を捜す様になります。
そして、その事件は浩一の許嫁、一条園子の死とも無縁ではなかったのです。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
それでは『北条浩一・シリーズ』全50話の中から唯一の過去話。
浩一が13歳の時に初めて遭遇した殺人事件、シリーズ第2話「虐殺・母の子守唄」を抜粋して紹介致しますね。
《イラストは過去絵に手を加えたものです》
「虐殺・母の子守唄」
☆キャラクター紹介
【北条浩一】13歳
中学1年生、比較的素直な頃、今のような金の亡者ではない
夏休みを利用して親戚の家に遊びに来た
【一柳 菊】10歳
赤い着物の良く似合う、日本人形のような美少女
何時も手毬をついている
☆菊が何時も歌っている唄
一つ 我が子が眠る時 七つ八つの鐘が鳴る
愛を求めて彷徨う幼い魂は 赤き血潮に染まりたもう
二つ 優しい母なれど小さな心の過ちが
全てのものを狂わそう
三つ 今宵は朧月 闇にけむるは黒猫の
哀れな姿を映し出す
四つ 赤く染まるは菊畑 欲と悲劇の憎しみを
母は秘かに思い出す
五つ 暗く冷たいその夜は 見渡す限り灰色の
狭く苦しいその中で 烏の声を聞きたもう
六つ 窓に映るは蝶の群れ 憎しみ背負った赤い色
涙色した赤い蝶
七つ 川辺に立つ柳 明るい日差しに当たることなく
枯れた小枝のもすそを揺らす
八つ 我が子に会いたしや けれど会えない哀しみを
誰が分ろう子への愛
九つ 朝陽は昇りたもう 娘は母に呼びかける
既に遅しかその時は 母の姿はもう見えぬ
我が子恋しや今日もまた 母は墓場ですすり泣く
母は墓場ですすり泣く
※小学6年の時に作ったそのままなので、“唄になってない”とか“言葉が変”とか言わずに温かくスルーしてやって下さいませ。
この物語は座敷牢に閉じ込められて非業の死を遂げた母の復讐を、娘である菊が、母が生前歌っていた唄の通りに実行する――という物語(『悪○の手毬唄』のような話)ですが、この話は犯人が誰かよりも、浩一が菊の心を救えるかどうか……が焦点のお話でした。
「浩一回想~散華~」
ぼくと菊ちゃんが初めて会った時、彼女は庭で鞠をついていた
赤い振袖がよく似合う可愛い子だった
“日本人形みたいだ。笑うともっと可愛いだろうな~”
そう思った
でも、彼女が微笑む事はなかった
菊ちゃんは自分の罪を知っていた
人を殺す事の罪の重さを……
けれど、自分の母を……
美しく優しく、何の罪もない一人の女性の運命を狂わせた一族を彼女は許せなかった
そして、その元凶である男の血が半分流れる自分自身を!
だから彼女は一族と自分をこの世から消し去ろうとしていた――
それが彼女の母への償い
ぼくに菊ちゃんを救う事など出来る筈がない
だけどぼくは少しでも彼女の心を軽くしてあげたかった
だから捜した
たった一つの真実を!
そして見つけたんだ
その真実の証を!!
けれど、ぼくは間に合わなかった
ぼくは菊ちゃんに伝える事が出来なかった
“君はその男の子供じゃない!
君は君のお母さんが愛した男の人との間に産まれた子なんだ!
君が心の底から憎悪する男の子供ではないんだ!”と
――君は愛されて産まれたんだ!――と
ぼくが見た菊ちゃんの最期の姿は笑顔だった
彼女は一言「お兄ちゃん、またね」とぼくに告げた
ぼくは彼女の笑顔の意味が分らない……
ぼくは、彼女を不幸なまま逝かせてしまった
北条浩一、この時13歳
菊を微笑ませたのは自分だと自惚れられるほど、自分に自信は持てない
菊はあの瞬間、確かに幸福だったのだと思えるほど大人でもなかった
これが後に高校生探偵として名を馳せる少年が最初に遭遇した殺人事件だった
花の生命は短く、そしてあまりにも潔く散る
だからこそ、花は気高く美しい――
※漫画風挿絵は事件が終息する前日、浩一と菊の別れのシーンです。
この翌日、菊は最後の復讐相手である父親を殺害した後、屋敷に火を放ち自害します。
漸く、菊の出生の秘密を突き止めた浩一が菊の許へ駆けつけた時には屋敷は炎に包まれ、浩一は菊に真実を伝える事が出来なかった――という悲劇的な結末でした。(←トトは小学生の時から鬼畜だったと実感)