反撃
「リミットはずすぞ!」
白木が吠え、花屑が頷き応える。
「さぁ、夜叉こっからが俺らの本当の戦いだぜ。」
リミット、彼ら人鬼は人鬼細胞に完全に取り込まれるのを防ぐためリミットがかかっている。
「久しぶりね、ちょっと心配だけれどまぁ何もしないでみすみす殺されるのよりはまし。」
そのリミットは人鬼細胞活性剤を血管に直接投与することで外れ、リミットの外れた人鬼は完全な鬼となる。
ープスッー
白木と花屑の血管に人鬼細胞活性剤が流し込まれる。数秒をおき変化が表れた。
「うっ、うぉぉぉォォォッッ!」
「でえぁぁぁぁァァァァッッ!」
鬼となったとき、人鬼細胞には特性が表れる、白木の人鬼細胞は火の特性を得て、武器とその両腕を灼熱の炎が包む。一方花屑の人鬼細胞は植物の特性を得て、薔薇のつると棘が覆っている。それを、警戒の視線で見ていた夜叉が変化を終えた白木達を見た瞬間、怒気の籠った叫び声をあげ飛びかかって来る。
「ふんっ!」
その突進を白木は炎を纏った斬撃で止める、そこで大きな火花が散った。その間を潜るように花屑が飛び出し渾身の突きを夜叉の喉仏に刺す。
「はあっ!」
夜叉は低く唸り後ろに飛び退こうとするが、動きが止まる。花屑のスピアを通して発生した薔薇のつるが夜叉の動きを止めていた。
「かかった!白木!」
「分かってる!おりゃ!」
花屑が合図し同時に白木が跳び刀を降り下ろす。しかし寸前のところで夜叉が刀身を掴んだ。
「なに!?こいつ怪我覚悟で掴みやがっ!うわっ!」
そのまま白木を薔薇を引きちぎりながら、地面に投げつける。
「白木!」
花屑が叫び夜叉に向かっていき高速で突きを繰り出す。夜叉はもう攻撃を理解したとばかりに花屑の攻撃をかわす。厭らしく笑い花屑に尻尾の一撃を出す。
「うっ!」
なんとかかわしたが、体勢を大きく崩してしまう。夜叉は勝ち誇ったように絶叫し、拳を振りかぶる。花屑はダメージを覚悟してスピアで防御を取る。しかし、その拳はふりおろされることなく夜叉の体は大きくのけ反った。少し遅れて背中に炎が走る。夜叉は苦しそうに呻く。
「グルルルァァッ」
夜叉の背後にはいつの間にか立ち上がっていた白木が、炎をたぎらせていた。
「まだまだ終わらないぜ!」