開幕戦闘
ある荒野一人の男が空を見上げながら立っていた。足下には死体が転がっていた。ただ、それは人ならざる者の異形な死骸だった。そのうち男がため息とともに声を発した
「ふぅ~・・・こちらA班の白木、東京ゲート北東に出現した五体の「夜叉」殲滅完了。転送してくれ。」
フッッッ!
淡い光に続いて白木の体はゲート内部の一番中心に建つ本部へ移動した。
「お帰り、白木。早速だが体内の鬼化細胞に異常がないか検査しに行ってくれ。」
そう白木に声をかけたのはこの施設の研究所長、吉良守だった。白木は小さく頷き医療室へ向かった。医療室には先客が待っていて白木は彼女に話かけた。
「花屑、いたのか。」
彼女の名は笹凪花屑、白木勇とともに夜叉の殲滅にあたる鬼化細胞を移植した人鬼である。
「ふふ、いたのかっていたらいけなかったかしらねぇ。」
「いや、そう言うことじゃないが。ま、いいや。さっさと検査だ。」
腕にチェーンを巻き自身の得物をその横にかざす。白木の得物は鍔のない日本刀、花屑の得物はスピアだ。数分間時間をおき検査は終了した。
「よかった、異常なしだ。」
「ふふ、最近は体と武器の鬼化細胞どちらも落ち着いていいわね。」
「鬼化細胞ね、なぁ何で俺ら戦ってるんだろ。」
ふいに白木は吐き捨てた。そんな白木を花屑は少し黙ってから一瞥したあとこう言った。
「何をいってるのあなたは?私たちが戦う理由?そうね細かくは色々あるかもだけど、大きな理由は私たちしか夜叉に勝てないからよ。10年前突如として現れた人類外の知能を持った生物、夜叉によって一度世界は滅びたのよ?奴等を殺せるのは鬼化細胞に適合した私たちなの。」
そう早口で捲し立てられ、白木は押し黙った。医療室に嫌な沈黙が広がった。しかし白木が小さな声で話始めた。
「ああそうだった。花屑ありがとな。ちょっとすっきりした。」
分かればいいのっといった表情で花屑が笑った。白木も少し微笑だ。
ーそうだ、俺らが戦わなければ人類は負ける。戦うんだあいつのためにも!ー
白木が決意を固めた時、夜叉襲撃を告げるサイレンが鳴り響いた。
「来た!」
「ええ・・・」