3つだけの約束
「あたしの名前はクレアだよ!君の名前は?」そう少女は言った。
「知るか!!」
「はぁ~君さぁ友達少ないでしょ?」
「う、うるさい!!だまれ!!!」どうやら図星のようだ。
「あたしが友達になってあげようか?うん今日から友達だ!で、名前は?」
「勝手に決めるな!チッ・・・な、名前はアイシス。レヴァナント王国軍3番隊隊長だ。」
「へぇ~アイシスは隊長なんだ!すごいね~!!」
「おまえ勘違いするなよ?」
「おまえじゃない!クレ・・・」反論してくるクレアを無視してアイシスは話を続けた。
「先に言っとくが俺は怪我が治ったらすぐに軍に戻ってまた戦う。」
「つまり?」
「俺から言わせればおまえだって敵の一人だ。命の恩人だろうが関係ない。俺は国のためなら命の恩人だろうが殺す。」
「・・・・・・」
「助けたことを後悔するんだな。俺の怪我を治したのはミスだったな。」
「後悔なんてしてないよ。当たり前のことをして後悔なんかするわけない。むしろ当たり前のことをしない方が後悔する。」
「気にくわねぇ野郎だ。俺の怪我が治ったら一番最初にてめぇを殺す。」
「君にはできないよ。だって君、本当はすごく苦しんでる。本当はすごく辛いんだよね?」そう言い残してクレアは台所の方に行ってしまった。
「俺が苦しんでる?笑わせるな。」『あの女いまいちよくわかんねぇ。馬鹿な女・・・』そう思いながらアイシスは眠りつく。
1ヶ月後・・・
アイシスは日の出が出る少し前に目覚めた。怪我ほぼ完治している。あれだけの重傷を負いながら1ヵ月半でほぼ完治するという現実ではありえない回復をみせた。
「よし。怪我はほぼ治った。あとは帰るだけだな。」アイシスは重たい腰を上げ、服を着替え、剣を持ち、家を出ようとしたその時、
「勝手にどこに行くの?」クレアの声がした。
「なんだ起きてたのか?ずいぶんとお早い目覚めだな。」
「そりゃぁね!だって君の寝顔かわいいんだもん!」
「なっ・・・」顔が熱くなるのが自分でもわかった。
「あ~照れてる~かわいい!」
「てめぇはどれだけ俺を馬鹿にすれば気が済むんだ!?」アイシスは声を荒げて言った。
「あたしを殺さないで出て行くの?」
「・・・・・・一応感謝してる。今は気が変わったんだ。だから今回だけは見逃してやる。」
「おぉ~意外と優しい心をお持ちのようですねぇ~安心安心!」
「だから勘違いするな。今回は見逃してやるが次会った時は殺すからな。」そう言いアイシスが家を出ようとしたその時、
「じゃぁまたね!」そう言うクレアの顔は笑顔だった。その言葉がアイシスの心に深く突き刺さった。自分が殺すと宣言したにも関わらずクレアは敵味方関係なくただ純粋に友達に接するように言ったのである。自分は戦いのことばっかり気にしているのにクレアは友達として接してきたのだ。だからその一言がすごく心に突き刺さったように感じた。アイシスの足がピクリと止まる。
「・・・そう言えば助けてもらったお返しをしてなかったな。これをやる。」そう言ってアイシスはひもの先にクリスタルのついた首飾りを手渡した。
「わぁ綺麗!これくれるの!?」
「ああやる。借りができたまま殺すのも気が引けるからな。これでおあいこだな。」
「おあいこって首飾りと命って見合ってない気が・・・」
「なっ・・・この首飾りの先についているクリスタルはとても高価な物なんだぞ!」
「ふ~ん」
「ち、ちなみに恩返しはこれだけじゃないぞ!実は同じのをもう一個もってる。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!そうか!そうだったんだね!そういうことか~!」
「何がそういうことなんだ?」
「ようはあれでしょ!ペア首飾り的なものでしょ!意外とやるねー」
「違う違う違う、、、ちがーーーーう!!!」
「そんなに否定しなくても・・・」
「この首飾りのクリスタルはちょっとした代物でな、いいか見てろよ!」アイシスはそのクリスタルに魔力を込める。するとアイシスのクリスタルが光始めた。するとアイシスのクリスタルが光始めたのと同時にクレアの持っていたクリスタルも光始め、二つのクリスタルが共鳴し始めた。
「わかったか?このクリスタルに魔力を込めるとお互いのクリスタルが共鳴し合うんだ。もともとこのクリスタルは連絡用として用いられてきたんだ。おまえがクリスタルに魔力を込めても共鳴する。」
「へぇ~でもなんでこんなの渡したの?共鳴し合うだけで別に電話みたいに話せるわけでもないでしょ?」
「3回だけ助けてやる。」
「へ?」
「どこぞのランプの魔人ではないが3回だけおまえが困ってたら助けてやるって言ってんだ。俺のできる範囲で願いを3回叶えてやる。だからおまえが困っていて助けがほしいときにこのクリスタルに魔力を込めて俺を呼べ。3回だけなら助けてやる。」
「わぁありがとう!じゃぁ困ったことがあったら呼ぶね!」
「じゃぁ今度こそ俺は帰るからな。」アイシスは背中の烙印に魔力を込めて純白の翼を生やした。そして大空へと飛び立ちクレアの家を後にした。
クレアというたったひとりの少女とかけがえのない約束を交わして・・・
「わぁホントの天使みたい!またねアーちゃん!」




