出逢い
少しでも多くの人に面白いと言われるような話になれば幸いです。
戦争・・・この言葉を聞いて良い印象を覚える人はあまりいないだろう。
自国が勝利すれば多大なる利益を得ることができ、敗退すれば多大なる被害を被ることになる。
たとえ勝利したとしても勝利するまでの過程で多くの犠牲が出る。
だがそんな戦争を生きがいとしている者もここに少なからずいたのである。
爆発音が鳴った。爆発音はひとつだけではない。次々と爆発音が鳴り響く。そう今まさにこの瞬間戦いは起きている。レイディアン王国軍の飛空挺がレヴァナント王国の艦隊めがけて砲撃している最中だ。戦況はレヴァナント王国が劣勢だ。次々とレヴァナント王国の艦隊が破壊されていく。
「隊長!アイシス隊長!このままでは3番隊艦隊は我々を含め全滅です!!」と3番隊本艦で一人の乗組員が男に訴えている。
「ああ」男はあっさりと返した。
「ああってこのままでは我々だって全滅なんですよ!?ここはいったん退却して出直したほうがよろしいかと・・・」
「俺が直接相手してくる。」
「えっ!?」
「おまえらは先に退却してろ」そう言い捨て男は立ち上がり艦隊の外へ出て行った。しかしそのはき捨てた言葉にはどこか自信があるように聞こえた。
その男の名前はアイシス、レヴァナント王国軍3番隊隊長である。軍の隊長とだけあってかなりの実力を持っている。彼はこの戦争で数々の功績を挙げている。わずか18歳で隊長に就任したというエリートだった。
アイシスは甲板に立っていた。レイディアン王国軍を殲滅せんと。
金色の髪を風になびかせながらそっと剣を抜く。そしてレヴァナント王国の人だけがもつ特殊な能力・・・背中の烙印に魔力を込める。次の瞬間白い翼が烙印から生えた。陽の光を浴びながら純白に輝く翼はまさに天使の羽根のようだ。
白い翼を羽ばたかせアイシスはレイディアン王国軍の飛空挺に閃光の如く突撃していく。そしてアイシスは飛空艇に斬りかかった。すると飛空挺は真っ二つに両断された。2隻3隻4隻と飛空挺は両断されていく。そうアイシスは己の剣戟だけで飛空挺を両断するという人間離れした強さを持っていた。順調に飛空挺を撃破していく中、敵の1隻の飛空艇がアイシスめがけて砲撃した。アイシスがその砲撃に気付いた時には既に遅かった。気付いた時には既に彼に砲撃が直撃したのだ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
砲撃が直撃したアイシスは空から地上へと堕ちて行った。
あれからどのくらい経ったのだろう?
アイシスが目を覚ますとそこは見慣れない部屋だった。
「ここは・・・ぐっ!!」体中を激痛が電流のように走った。自分の体を見渡すと包帯だらけだった。
「誰かが手当てしてくれたのか。ってことは誰かが俺を回収してレヴァナントに連れて帰ってきたんだな。にしてもここは一体・・・」
「あっ!目を覚ましたんだ!良かった~!!」と声がする方を見た。そこには自分と同じくらいの歳の少女が満面の笑みを浮かべながら経っていた。
「おまえが俺を手当てしてくれたのか?」
「そーだよ!」
「俺は一体どのくらい眠っていたんだ?」
「2週間だぁよ!」
「2週間だとっ!?そんなに長いこと眠っていたのか・・・じゃあ早く軍にもどらなくは・・・ぐっ」
「そんな体じゃあまともに歩けないよ。完璧に治るまで安静にしてなくちゃ!」
「チッ・・・くそっ、ところでここはどこだ?レヴァナントのどっかの施設か?」
「レヴァナント?違うよ、ここはレイディアン王国の街のはずれにある小さな家だよ!」
「レイディアン王国だと!?っていうことはおまえは地上人だな!?」
「ん?そうだけど・・・それがどうかした?」
「どうかしただと?ふざけるなっ!!てめぇ一体何を考えてる!?なぜ俺を手当てした!?」
「きみ空から落ちてきたの。」
「なっ」
「すごい怪我してたから手当てした、うん。」
「俺が聞いているのはそういうことじゃない!なぜレイディアン王国の敵である俺を助けた?俺を捕虜として色々尋問するためか!?」
「人を助けるのにいちいち理由なんている?あたしはただあなたを助けたかったから助けた。それ以上に理由なんて必要かなぁ?」
「・・・おま」
「さっきからおまえおまえって、あたしにはクレアって名前があるの!」
「あたしの名前はクレア!いい覚えた?ク・レ・ア!!」
それがアイシスとクレアの出逢いであった・・・