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【完結】追放された悪役令嬢は氷の騎士と静かに人生を取り戻す~復縁は望みませんが、謝罪は受け取ります~  作者: モヒ


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11/15

番外編

侍女アーニャは、主を信じている

王都の朝は、いつもより騒がしかった。


「聞いた? ローゼンベルク公爵令嬢が追放ですって」


「あぁ言うのを、『悪役令嬢』って言うらしいわ」


「なんでも北の方の街で男と歩いていたらしいわ」


「どうせ男に色目でも使ったんでしょ。あーやだやだ」


石畳を掃除しながら、アーニャは一切顔を上げなかった。 噂話など、聞く価値もない。


――だって。


「……嘘だもの」


小さく呟いた声は、誰の耳にも届かない。

セレスティーヌ様が、悪役令嬢?

人を陥れ、嘘を吐き、立場を利用する?

そんなこと、あるはずがない。


アーニャはよく覚えている。

夜遅くまで書類仕事をして、目を赤くしていた姿。

理不尽な命令を押し付けられても、決して使用人の前では怒らなかったこと。


そして――


(下町の孤児に、パンを……)


あれはもう十年も前だろうか。公務の帰り、偶然通りかかった路地で飢えて動けなくなっていた子供に、セレスティーヌ様は迷いなく膝をついた。


「生きなさい」


ただ、それだけ言って。

見返りも、感謝も、名前すら求めずに。

そんな人が、悪役?


「……許せない」


アーニャは、雑巾を強く握りしめた。

あの日、謁見の間に入ることは許されなかった。

けれど、廊下の奥で聞いた声がある。


――王太子と、あの令嬢の、打ち合わせ。


不自然だった。

証拠の出所も、証人の顔ぶれも。

あまりに、出来すぎていた。


「調べれば、必ず……」


アーニャは小さな部屋に戻ると、古い帳簿を引っ張り出した。

セレスティーヌ様が管理していた寄付金の記録。 改竄された痕跡。

消された署名。

一つ一つは小さい。だが、繋げば


――真実になる。


「お嬢様は、もう王都にいない」


それでも。


「だからこそ、私がやるの」


アーニャは、静かに微笑んだ。

かつて主が自分に言ってくれた言葉を思い出しながら。


――「アーニャ、あなたは賢いわ。誇りなさい」


「今度は、私の番だ」


たとえ主が戻らなくても。

たとえ誰にも褒められなくても。


「セレスティーヌ様は、悪役令嬢なんかじゃない」


それだけは、世界に示してみせる。


そしていつか――


北の地で穏やかに笑う彼女に、胸を張って言うのだ。


「セレスティーヌ様。すべて、片付きました」


侍女アーニャは、今日も主の背中を信じている。

たとえ、その背中が今は遠く離れていても。


https://ncode.syosetu.com/n0149lv/


新しいの書きました!短編!

今書いてるハイファンタジーの息抜きで書いたやつです。よろしくお願いします(^-^)/

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