表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】追放された悪役令嬢は氷の騎士と静かに人生を取り戻す~復縁は望みませんが、謝罪は受け取ります~  作者: モヒ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/15

最終話 そしてあなたと……

王都からの使者が北の邸宅に到着したのは、夜明け前だった。

封筒ではない。

正式な書状――王家の紋章入り。

アデルが受け取り、無言でセレスティーヌに差し出す。


「……来たわね」


指先が、ほんの少しだけ震えた。

だがそれは恐怖ではない。

書状には、簡潔にこう記されていた。


――セレスティーヌ・フォン・ローゼンベルクの罪状は、すべて虚偽であった。


――名誉は完全に回復される。


――王太子殿下は、正式な謝罪の場を設けたいと望んでいる。


そして最後に。


――婚約は、元の形に戻すことも可能である。


セレスティーヌは、静かに紙を閉じた。


「……謝罪、ね」


「行かれますか」


アデルの声は抑えられていた。

だが、その奥にある感情を彼女はもう見誤らない。


「行くわ」


その答えに、彼の表情が一瞬だけ曇る。


「ただし」


セレスティーヌは、まっすぐ彼を見る。


「婚約を終わらせるために」




王都。

謁見の間へ向かう途中、父……ローゼンベルク公爵が現れた。


「セレス……私は取り返しのつかないことをしてしまった……。すまない……。」


「あの令嬢は……」


「あ奴は大罪を犯した。今は地下牢につないでおる。家門ごと没落後、辺境の修道院で生涯を過ごすことになるだろう」


「本当に、すまなかった……」


「……ローゼンベルク公爵、謝罪は受け取ります」


「お父様……とはもう呼んでくれないんだな……」


私は笑顔で応える。


「私はもう、貴族ではありません。それに私の帰る場所は、もうありますから」





謁見の間。

かつて彼女が断罪された場所で、今度はすべてが逆の形で並んでいた。

王太子は、深く頭を下げた。


「……セレスティーヌ、そなたに許しを請う」


その姿を見ても、胸は不思議と波立たない。


「謝罪は、受け取ります」


セレスティーヌは、静かに言った。


「でも」


視線を上げ、はっきりと告げる。


「私は、王太子殿下の婚約者には戻りません」


ざわ、と空気が揺れる。


「こちらから、婚約破棄を申し出ます」


王太子の顔が、わずかに歪んだ。


「理由を、聞かせてもらえるだろうか」


「はい」


セレスティーヌは、一歩前へ出る。


「私は、正しい令嬢でいるために生きることをやめました」


「誰かの期待や、都合や、立場のために選ばれる未来を」


一度、息を吸う。


「もう、選びません」


その場にいた誰もが言葉を失った。


「私は――」


振り返り、謁見の間の扉の方を見る。


「自分で選んだ人のそばで、生きます」


控えていたアデルと、視線が重なった。

彼は、何も言わない。

ただ、逃げ場のないほど真っ直ぐに彼女を見ている。

セレスティーヌは、迷わず彼のもとへ歩いた。


「……アデル」


「はい」


「待たせたわね」


「いえ」


彼は、ほんの一瞬だけ目を伏せてから言った。


「……よく、帰ってきました」


その言葉に、胸がいっぱいになる。




北の邸宅。 夜。

暖炉の前で、二人きり。


「すべて、終わりました」


セレスティーヌが言うと、アデルはゆっくり頷いた。


「……もう、抑える理由はありません」


低い声。

次の瞬間、彼女は強く抱き寄せられていた。

逃げ道を塞ぐように。けれど、決して乱暴ではなく。


「セレス」


「はい」


「あなたに選ばれたのは、俺です」


「はい」


囁く声が、震えている。


「わたしが選んだ」


セレスティーヌは、彼の胸に顔を埋めた。


「だから」


そっと、彼の背に腕を回す。


「わたしから離れないで」


アデルは息を呑み、さらに強く抱きしめた。


「……一生、離しません」




氷は、完全に溶けていた。

悪役令嬢と呼ばれた人生は、もう終わり。

選ばれる物語でもない。

これは――自分で選び、選ばれた二人の物語。

そして北の地には今日も静かで、穏やかな朝が訪れる。

彼女の帰る場所は、もうどこにも奪われない。




――完。


ついに最終話です。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

アーニャ目線の番外編も載せますのでよろしくお願いいたします。


https://ncode.syosetu.com/n0149lv/


新しいの書きました!短編!

今書いてるハイファンタジーの息抜きで書いたやつです。よろしくお願いします(^-^)/



次回作ハイファンタジー準備中です。

今度は剣と魔法の本格バトルあり、世界観重視の物語になります。

恋愛要素はあったりなかったり!?

お楽しみに~!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ