第1話 追放の日
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「――セレスティーヌ・フォン・ローゼンベルク。貴族の名を剥奪し、王都より追放とする」
謁見の間に、冷たい宣告が響いた。
婚約者だった王太子は彼女を一度も見ない。代わりに隣に立つ令嬢が、勝ち誇ったように微笑んでいた。
……ああ、やっぱり。
セレスティーヌは、心の中で小さく息を吐く。怒りも悲しみも、もう擦り切れていた。
「以上だ。あいつを連れ出せ」
兵士に促され、セレスティーヌは一礼する。
弁明はしない。誰も聞く気がないと、最初から知っていたから。
お父様…ローゼンベルク公爵からは、昨日の時点で勘当を言い渡されていた。
視界の端に映る公爵は目も合わせようとしない。
王城の大門が閉じる音が、やけに大きく響いた。
振り返らずに歩く。これで終わり。
あの女に意図的に作られた『悪役令嬢』としての人生も、全部。
城門を抜け、石畳の道に出たとき――背後から馬の足音が止まった。
「……お待ちください」
低く、落ち着いた声。
振り向くと、白銀の甲冑に身を包んだ騎士がいた。
感情の読めない氷色の瞳。透き通るような銀髪。王国最強にして、最も冷酷だと噂される男。
――氷の騎士、アデル・フロスト
「あなたが、なぜここに?」
セレスティーヌは思わずそう口にした。
彼は王家直属の騎士団長。追放される令嬢に関わる理由などあるはずがない。
「命令ではありません」
彼はそう言って、兜を外した。
硬質な顔立ち。
だが、どこか緊張したようにも見える。
「私の個人的な用件です」
個人的。その言葉に、胸がわずかにざわつく。
「私はもう、何も持っていないわ」
「存じております」
アデルは一歩、距離を詰めた。
その動きがあまりに慎重で、逆に不思議に思えるほどだった。
「だからこそ、ここに来ました」
風が吹き、彼女の髪を揺らす。
その一房を、彼はじっと見つめていた。
「……あなたが追放されるのを」
一瞬、言葉を選ぶように間を置いてから、
「待っていました」
心臓が、強く跳ねた。
「それは、どういう――」
問いかける前に、彼は膝をついた。
「セレスティーヌ様。これから先の道、危険も不便も沢山あります」
そして、顔を上げて彼女を見つめる。
氷の騎士の瞳が、初めてわずかに揺れた。
「それでも……あなたの近くにいる許しを、いただけませんか」
王都の外れ、誰もいない道の上で。
追放された悪役令嬢の前に、王国最強の騎士が忠誠を捧げていた。
その意味を、セレスティーヌはまだ知らない。
――この追放が、恋の始まりだということも。
はじめまして。
第一話を読んでくださりありがとうございます。
追放系を1度は書いてみたい!
ってな感じでスタートです。
https://ncode.syosetu.com/n0149lv/
新しいの書きました!短編!
今書いてるハイファンタジーの息抜きで書いたやつです。よろしくお願いします(^-^)/
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