出会いの突然。
風が気持ちいい季節。
私の、お気に入りの季節。
寒くもない、暑くもない5月の早朝。
窓を開ければ、眼の前にミモザの花溢れる木。
木。
木?
「木!!」
思わず叫んだ。
無い。
何で?
去年、ここに来たときは確かにあった。
お隣からこっちの庭にまで溢れかえるくらいに咲いた
黄色い花が。
なのに何で?
泣きそうになった自分がいた。
私は、人と喋る事が苦手だ。
新学期が始まるといつも1ヶ月後には、体調が悪くなるので
毎年5月は連休明けから、坂の上の母方の祖母の家に夏休み明けまで
お世話になる。
程よく都会でそれでいていい感じに田舎なこの街は、私に癒やしをくれる。
昨日、遅い時間に着いたので全く気付かなかった。
「おばあちゃん!!」
階段を勢いよく降り祖母のいるキッチンに駆け込む。
「あら?朝から大きい声出してどうしたの?」
祖母は、お気に入りの紅茶を入れながら笑顔で聞いてきた。
「庭のミモザ!!」
叫ぶように、泣き出しそうになりながら私は聞いた。
「あの木ね?実は隣のお家に前、住んでらした山下さんのおじいちゃんが
娘さんのお家に引っ越して行かれてから、しばらくは空き家だったんだけどね。
一ヶ月前から、新しく大森さんて方が越して来られて息子さんが喘息みたいで
あの木、伐採されちゃったのよ。」
残念そうに、祖母は紅茶を見つめ溜め息をつくように飲みながら外を見つめた。
「スエは、あの木大好き?だったわよね。おばあちゃんも大好きだったから残念よ。」
残念どころじゃない。
むしろ、パパやママを亡くした時と同じくらい悲しくてやるせない。
私は小さくため息を吐き「着替えてくる」と祖母に言い階段を登って部屋に入った。




