cという国の策略
「博士。最近tという企業が台頭してきてますけど、どう思われます?」
立野くんが尋ねた。
「cという国のtという企業かね?」
「はい。激安の商品と、タダで商品を送ったりで人気なんですよ」
「わしの考えでは、かなりやばいことになりそうだと思っておる」
「どんな風に?」
「まず、どんどん顧客を集めて、個人情報を根こそぎ奪い、電子マネーやクレジットカードの限度額まで一気にある日突然奪い去るつもりだろうと思われる。日本人はガードが甘いから、いいカモにされることだろう。cという国の国家的策略やもしれん」
「えらいこっちゃ」
「最初はただ同然で商品をちらつかせ、後で一気に利益を取り立てる戦法だろうな」
「どうにかできないんですか?」
「実際に被害が出てからしか取り締れないだろうし、わしはなんもできんよ」
そこへ博士の奥さんが顔を出した。
「あなた!このカーディガン、480円だったのよ」
「一桁違うんじゃないですか?」
「tという企業から買ったのよ」
「時すでに遅し」
「なによー。これに刺繍でお花をいっぱい縫って、綺麗にするのー」
立野くんと博士は頭を抱え込んだ。