第7話 ストーキング スカウト
昨日は結局帰って直ぐに寝た。
そして、次の日は心機一転何か依頼をこなそうと、ギルドに来てみたのだが……。
「おはよう、ご機嫌な朝だね」
「なんでお前がこんな所に居るんだ、勇者」
「ふふっ 名乗らなくても その歳でその強さ、街で少し聞き込みをすれば直ぐに、キミの情報に辿り着いたよシルト君」
穏やかじゃないセリフを言いながら、爽やかな笑顔を向けてくる。
「てか、お忍びって話はどうしたんだよ……」
「もう街に潜んでいたモンスターは倒したから良いのさ!」
「そうですかい………」
「と・こ・ろ・で〜 今日はお礼だけでなくて〜キミを我が勇者パーティにスカウトしたくて来たのさ」
「はぁ……?はぁ………はぁ!?!?」
何を言い出すんだコイツは………。
勇者パーティはこの王国を含めた複数の国からの共同で作られた人類最終兵器。それを勇者とはいえ、一存で決めていいわけが無い。
「勿論、僕の独断じゃないよ。元々、勇者パーティのメンバーは才能と実力はピカイチだけど何分、実戦経験が少なくて……」
そうだ、カフカも招集を受けたのは9歳の時だったが、そこからの数年は才能を開花させる為に、勉強や修行をみっちりと行っているらしいという話は聞いたことがある。
「今回だって、実戦経験の少なさから来る判断ミスで何度かピンチになった……そして、それを助けてくれたのがキミ!」
「はぁ……」
「昨日 直ぐに【伝言】の魔法で関係者全員参加の緊急会議を開いたよ。そして、キミの冒険者としての実績や実力を加味した結果、キミは勇者パーティに相応しいという結論に至ったよ!」
「そんな勝手な……」
「勿論強制では無いけど………正直、この誘いを蹴ってまで冒険者を続けるのは大きな圧力がかかるかもしれないね」
と、これは少しバツが悪いのか耳打ちしてくる。
この誘い、3日前の俺なら喜んで受けていただろう。
でも、コイツがカフカと…いや、カフカだけで無く、ほかのメンバー全員と関係を持っていたとしたら、気まずい所の騒ぎじゃないし、たまったもんじゃない。それなら冒険者を引退して村に帰った方がマシだ。
「悪いが……その誘いには乗れないな」