第4話 グラップラー シルト
「コシャクナ!」「コロス!」
どうやらコイツらはさっきの2体と比べると、知能は良くないようだ。
少し構えて向こうの出方を伺ってみる。
「ツブレロ!」
コウモリ男の一体が空から体当たりを仕掛けてきた。
ドン!俺が躱した結果、地面に激突したようで、地面にはヒビが入っている。
そこそこの威力はありそうだ。
とりあえず体勢を整えられる前に、体当たり失敗野郎へと攻撃をしかける。
ドン!
チッ…もう一体の方も落ちて来やがった。
その隙にさっきの一体も空へ戻っているし、コンビネーションは取れてるようで思ったよりは厄介だ。
「クケケ…テモ、アシモ、デナソウダナ!」
「イキッテ、デテコナキャ、ヨカッタノニナ!」
めんどくさいな……躱すのやめるか………。
構えを止めて棒立ちの状態になる。
「ア?ナンダ、アキラメタノカ?」
「ナラ、サッサト、コロシテヤルヨ!」
まさかの行動をした俺を見て絶望したとでも思ったのか、また体当たりを繰り出してくる。
今度は ドン! とデカい音は鳴らなかった。俺が落ちて来たコウモリ男を受け止めたからだ。そして、そのまま組み付いて首をへし折る。
「ナ、ナンテヤツダ」
もう一体はどうやら逃げそうだ……スキルを使うか。
「こっちへ来いよ《囮》」
《囮》とは、知能の低いモンスターのヘイトを自分へ向けるスキルだ。
こいつぐらいの知能なら、ギリギリ通用するだろう。
「ググッ…コロス!」
どうやらちゃんと通用したみたいだ。
流石に空からの体当たりは通用と思ったのか、噛み付いて来ようと、顎を目一杯広げて飛びかかってきた。
「遅いな」
俺はコウモリ男の顎にアッパーカットを入れ、ふらついた隙に締め落とす。
ふぅ……こっちは片付いたな。
服のホコリを払い勇者の様子を見に行く。
「グハハハハ………イイキミダ チョウシニノッタ ツケヲ ハラッテ モラウゾ コゾウ!」
まさか押されてるのか………?
いや…違う、人質を取られている!