凍てつく大地
「「!?」」
キャルメルとイモムシ女が睨み合っている最中に虚を衝いて突撃し、捕らえられていたレイス達を取り返す。
しかし、いくらなんでもこんなに上手く行くとは思わなかった。
「よくやったわ…!後は私がこのイモムシ女を始末してあげるから見てなさい!」
とキャルメルが上機嫌に言う。
「ふふっ……えらく舐められているわねぇ?何かぁ勘違いしてるけどぉ……ここに来た時点でぇ、あなた達は既にまな板の鯉同然なのよぉぉお【地脈活性】」
イモムシ女が両手を上げ魔法を唱える。すると、そこらじゅうのダンジョンの壁や床から黒い霧の様なものが出てくる。その霧は蠢きながら何かを形作ると、それは無数のモンスターへと変化し、俺達は包囲されてしまった。
不味いな……俺だけなら何も問題無いが、気を失っている三人を守りながら倒せるか……。
「へぇ〜【地脈活性化】とはやるじゃない。その魔法でダンジョンのモンスターを生成する力を活性化させたって訳ね……。【モンスター召喚】よりも効率的だし、なかなかのやり手ね。でも、やっぱり舐めてるのはあんたの方よ。さぁ...そのツケを払いなさい.....【二重魔法:凍てつく大地】」
キャルメルが世間話の様に魔法を唱えると、俺達を除いた周辺の全てが凍りついていた。
正直俺も舐めていたかもしれない……。宮廷魔術師ですら、届かないものも多い二重魔法。それをこうも簡単に放つとは、何も知らない奴が見たら魔法が簡単なんて勘違いしてしまうかもしれない。
「グギギ……! ガハッ! クソムシがァ! コロス! コロス!」
身体の殆どが凍りつき、先程までの吐息混じりの喋り方とは打って代わり、荒々しく叫んでいる。
「はぁ…はぁ……まだまだぁ、栄養を貯めてからにするつもりだったけどぉ……いいわぁ…殺してあげるわぁ……」
まだ何かするつもりか.....。