第2話 YOUSYAは何しに王都へ
…………何処だここ?
「やぁ目が覚めたのかい?」
横から声を掛けられた。
「あ、え?あぁ…はい………」
「ほら、水でも飲みなよ」
「あ、ありがとうございます、いただきます」
差し出された水を飲み、一息つく。
顔を上げるとそこに居たのは、落ち着いた金髪に蜂蜜色の目 そして中性的な顔立ちの好青年だ。
どうやらこの人が介抱してくれたようだ。なるほど、何となくの状況は分かった。とりあえずちゃんとお礼を言わないとな………。
「介抱してくれたんですよね ありがとうございます」
「いいとも、いいとも なんて言ってたって僕は勇者だからね!困っている人を置いてけぼりなんで出来ないからさ!」
「ああ…そんなんですね………あ?勇者!?」
「ふふ…驚くのも無理はないか…そう!僕こそが、この魔物の跋扈する世界の救世主!勇者 レイス・ランスその人さ!」
あぁ…なんてついてないんだ、まさか勇者に助けられるなんて………いや、そもそも………
「なんで勇者ともあろうものがこんな所に居るんだ?」
勇者と言えば、各地に出現する強力なモンスターに対抗すべく旅をしているはずだ。
「え?あぁ……そうか。一応お忍びだからね」
じゃあ名乗っちゃダメだろ。
「ここだけの話、今この王都に擬態しているモンスターが居るって話で、そいつを追って来たのさ」
結構ぶっちゃけるな...しかし、状況はわかった。
この王都は人口も多ければ商業の中心地、だからモンスターが紛れ込んでいるなんて公にしたらパニックになる。
だから、こうやって隠れて戻ってきたのか。
「まぁ気がついたなら、もう僕は用済みだね。ここは王都二丁目の金色亭だよ。チェックアウトは11時までだそうからそれまでには帰るんだよ 」
そう言って勇者は立ち去ろうとする。
「何から何までありがとう……あと、擬態型のモンスターは厄介だ、気をつけな」
憎き勇者と言えど恩人だ。
礼を言いつつ自身の不甲斐なさを呪う。
「ふふ……心配ご無用!僕にかかればちょちょいのちょいさ!」
そう笑いながら勇者は去っていった。